松本すみ子の「@シニア」

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第11回
“今日行くところ”を探しています

カラオケも様変わり?

カラオケ業界も、シニア世代への居場所提供ビジネスに積極的です。第一興商は2011年11月、東京・高円寺に「Dramatic Active Member's DAM倶楽部」をオープンさせました。従来のカラオケルームだけでなく、体成分分析・血圧測定・骨粗しょう症や素肌年齢チェックが行える健康プログラム、フィットネス・ヨガ・太極拳・気功・ウォーキングなどの運動プログラム、料理研究家とコラボしたランチ・甘味・飲料などの飲食コーナーも備えました。さらに、三世代ふれあいの場、写真館、発表の場、産地おとり寄せ朝市などのスペースやプログラムも用意し、高齢者を中心とした家族での利用も視野に入れているようです。

これに先立ち、第一興商では歌謡曲に対応した介護施設向け通信カラオケ機器を開発しています。画面の歌詞を大きく表示でき、1960年代ごろの風景映像を映し出す装置で、体操用にアレンジした歌謡曲、唱歌・童謡などを多数揃えたシニア仕様のカラオケです。

こちらのほうがゲームよりも可能性があるような気がします。団塊世代はカラオケの第一世代ですし、会社の接待や仲間の飲み会でもよく行ったお馴染の場所です。また、歌うことはある種の運動でもあり、音楽療法は心身両面に効果があります。

同じような発想の例としては、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営している「蔦屋書店」(*)が挙げられます。これは団塊シニアをターゲットにした「OTONA TSUTAYA」のコンセプトに基づいて造られた商業施設で、本業のレンタルよりも書店という形態を中心に置き、シニア世代の読書という趣味や嗜好から訴求しようというもの。やはりシニア世代をターゲットにしたファミリーマートの「おとなコンビニ」も併設されています(「おとなコンビニ」に関しては第9回を参照)。

ただし、今のところ、利用者のほとんどは若い世代であり、肝心のシニア世代へのアプローチは上手くいっていないようです。とてもオシャレな施設ですが、シニアはもっとリアルに活用できるサービスを求めているのではないかと思います。

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