第14回
シニアにスマホを使わせたいなら
~リタイア世代こそ利用価値あり~
2012.06.12 [松本 すみ子]
シニア世代もスマホに関心大
以上、若者にはなにをいまさらという感じの体験談でしょうが、シニア世代へのスマホの所有率はまだまだなのです。日経トレンディ6月号の記事によれば、もっともスマホ所有率の高い世代は20~29歳女性の54.2%、次が20~29歳男性の48.3%。若者はもう半数以上がスマホを使っています。
それに比べて、60~69歳男性の所有率は8.0%、女性は3.4%。当然ながら、各年代で最も小さい数字です。ちなみにシニア予備軍の50~59歳男性は22.6%(仕事でも利用している?)、女性は6.7%。
若者との所有率の差は歴然ですが、実は、スマホへのシニア世代の関心はとても高いのです。私がスマホを買うつもりと話すと、「そしたら私も買うから、教えてね」と言う友人がたくさんいます。CMで見るような、はらう(フリック)、縮める・広げる(ピンチイン・ピンチアウト)などの操作をしてみたいというような好奇心もあるようです。
では、なぜ持たないのか。要するに、迷っているのです。アプリってどんなもの、操作が複雑そう、使いこなせないかも、値段が高そう、アンドロイド?などなど、「誰か教えてくれる人がいればいいんだけど、わからないことだらけ」と思っています。だから、仲間のうち誰かが使い出すと、芋づる式に増える可能性があるのではないでしょうか。私は、今がその最初の時期ではないかと考えています。
中でも、もっとも利用価値を実感するのはリタイアしたばかりの人たちかもしれません。というのも、定年後は今までのように会社のパソコンを使うことはできないので、自前で用意する必要があります。なによりメールが使えなくなるのが困るからです。もちろん、簡単なメールだけならケータイがありますが、添付文書は開けないし、インターネットでの調べ物も不便。だから、定年前にパソコンを購入したり、買い替えたりする人は多いのです。
彼らは会社でパソコンを日常的に使ってきたので、操作はそれほど問題ではありません。問題はパソコンのセッティングやトラブル時の対処です。今までセッティングはシステム部門の担当者がやってくれたし、トラブルは若い部下に声をかければ、ほとんど解決してくれました。しかし、もはや頼れる人はいません。面倒になり、使えない機能がある、あるいはほったらかし状態という人も現れます。
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