第8回
若さと健康を保つ「抗酸化」
2011.07.26 [大西 ひとみ]
いつまでも若々しく、健康でいたい───それは、時代や国を問わず、すべての人々が願ってきたことでしょう。
では、老いや病をなるべく遠ざけるにはどうしたらよいでしょうか。
今回は、「抗酸化」についてのお話です。
私たちが生きていくために必要な「呼吸」。
体内でエネルギーを作り出すため、呼吸によって酸素を取り入れているのは、皆さんもご存じの通りですね。
しかし、吸った酸素すべてが体内で利用されているわけではありません。1〜3%は体内で利用されず、酸化力の強い「活性酸素」に変わってしまうのです。
活性酸素は、細菌やウイルスから体を守るなどの働きもあるものの、体の組織を作るタンパク質や脂肪、また遺伝情報に大切なDNAなどを酸化させ、害をもたらす作用があります。
活性酸素が発生する原因には、呼吸以外に、紫外線、ストレス、喫煙、飲酒、また激しい運動などもあります。呼吸以外の原因は、日々の心がけで改善できそうですね。
さて、いったん酸化が起こると、連鎖反応によってどんどん進みます。酸化が進むと、老化が進み、さまざまな病気をも引き起こします。ストレスや過度の飲酒、喫煙などが体に悪いといわれるのは、それらが体内の酸化を促進させるからなのです。
では、酸化に対抗するにはどうしたらよいでしょう。
そこで、「抗酸化物質」の登場です。
抗酸化物質とは、活性酸素を無害化する作用があります。
抗酸化物質には、βカロテン、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールなどがあります。これらは、1種類だけ摂取するより、複数の種類を同時に摂取した方が、より強力で持続力のある作用を発揮します。なぜなら、抗酸化物質が作用する個所はそれぞれ異なるからです。
例えば、かんきつ類やほうれん草、ブロッコリーなどに多く含まれる「ビタミンC」は、主な4種類の活性酸素すべてを無害にすることができますが、水溶性のため、血液中や血しょうなど水分のある場所でしか効果を発揮することができません。つまり、脂質でできている細胞膜などに対しては作用しないのです。逆に、にんじんやカボチャなどに多く含まれる「カロテン」は脂溶性なので、細胞膜などの抗酸化に役立ちます。
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