第7回
ネバネバ野菜の種類と効果
2011.07.12 [大西 ひとみ]
ネバネバした野菜は体に良いと耳にすることが多いと思いますが、実際どんな効果があるのでしょう。
ネバネバした野菜には、イモ類(山芋、里芋など)と、緑黄色野菜(オクラ、モロヘイヤ、アシタバなど)があります。
ネバネバ野菜のもととなる成分は、糖とタンパク質が結びついた「糖タンパク質」と、糖が多く結びついた多糖類の「水溶性食物繊維」の2種類に分けられます。
イモ類に含まれるネバネバ、つまり「糖タンパク質」は、ムチンとも呼ばれていて、人間の目の粘膜や、食道、胃などの消化器の表面をおおう粘膜成分として知られています。
ただ、ムチンは分子量が大きいので、腸ではそのまま吸収されません。ムチンを食品から摂取した場合、体内でどのような作用をするかについてはまだはっきりとした研究結果は出ていません。粘膜を保護する働きはあるようですが、ムチンを含む食品を食べたからといって、体内で粘膜の再生が促されることはないようです。
しかし、山芋などに含まれている「でんぷん分解酵素」は、ご飯などのでんぷん質の消化を促す作用があります。食欲がない時などに、でんぷん質の食品と山芋などを一緒に食べると、「でんぷん分解酵素」が体内の消化酵素と同じように働いてくれるため、胃に負担をかけずに栄養素の吸収ができるのです。
食物繊維には、水に溶けない性質を持つ「不溶性食物繊維」と、水に溶ける性質を持つ「水溶性食物繊維」との2種類があり、植物性食品には基本的に両方とも含まれています。
「水溶性食物繊維」は水に溶けるとドロッとした粘りを出し、「不溶性食物繊維」は水分を吸収すると膨らむという性質があります。
そして、緑黄色野菜に含まれるネバネバ、つまり多糖類の「水溶性食物繊維」については、さまざまな効果があることが明らかになっています。
このネバネバは、一緒に摂取した食品を、粘りによってゆっくり小腸に移動させます。小腸での糖の吸収がゆるやかになるため、食後の急激な血糖値の上昇や、コレステロールや中性脂質の吸収が抑えられたりして、生活習慣病の予防や改善に役立ちます。
その上、腸内細菌のエサにもなるため、腸内環境が整えられ、免疫力も高めてくれます。
これらの効果を考えると、緑黄色野菜のネバネバは、ダイエットにも効果があるといえるでしょう。
ちなみに、「水溶性食物繊維」の腸内環境を整える作用や、食後における血糖値の上昇抑制作用、血中のコレステロールや中性脂肪の低下作用は、特定保健用食品(トクホ)にも利用されています。
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