今だからこそ考えよう~自分に合った食事と運動のいい関係

バックナンバー

第16回
ダイエットに必要な脂肪とは?

「脂肪はダイエットの大敵!だから、なるべく脂肪の少ない食べ物を!」
…と、脂肪はとても体に悪いと思っていらっしゃる方も多いのではないかと思います。そのイメージは、正解でもあり、不正解でもあります。実は脂肪は、種類によってはとても体に良い効果もあるからです。

脂肪は、「脂肪酸」と「グリセリン」などのアルコールが結合した高分子化合物です。
脂肪酸には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」が存在し、飽和脂肪酸は肉類や乳製品などに多く含まれています。中性脂肪など血液中の脂肪を増やす性質があるといわれており、取りすぎると肥満や高脂血症、また動脈硬化などのリスクが高まり、一般的に体にはあまりよくないといわれている脂肪酸です。

一方、不飽和脂肪酸は種類によってさまざまな働きがあり、中性脂肪やコレステロールのコントロール、また肌に潤いをもたらせるなど、体に良い効果があるのです。
脂肪酸の中には、「必須脂肪酸」が存在し、これは健康を維持するために不可欠な脂肪酸のうち、人間が体内で合成することの出来ない脂肪酸を指します。食べ物によって体内に取り込まなければ、抵抗力が低下し、皮膚のトラブルや感染症にかかりやすくなるといわれています。
ですから、すべての脂肪が敵というわけではなく、摂取しないと健康な体が維持できなくなる脂肪もあるのです。

よって、ダイエットをする場合も、すべての脂肪を断とうとするのではなく、必須脂肪酸は心がけて摂取しましょう。ただし、取りすぎると肥満になったり、いわゆる生活習慣病といわれる病気になったりする可能性もあるので、適量を心がけてください。
なお、「αリノレン酸」、「アラキドン酸」、「リノール酸」の3つが必須脂肪酸で、いずれも体に良いとされる不飽和脂肪酸に分類されます。ごま油、大豆油、しそ油、エゴマ油、サフラワー油、亜麻仁油、またレバーなどに多く含まれます。

さて、体に良い脂肪を摂取するのは大切ですが、体に良い脂肪であろうが、悪い脂肪であろうが、脂肪は1gあたり約9カロリーあります。他の3大栄養素である、「炭水化物」や「タンパク質」の1gあたり約4カロリーに比べると、カロリーは倍以上です。
そこで気をつけたいのは、摂取するカロリーのコントロールです。細胞小器官のミトコンドリアで行われるエネルギー生成の系を「β酸化」というのですが、運動不足の人は、β酸化の酵素活性がとても弱く、体内にある炭水化物が主なエネルギーとして利用され、本来エネルギー源として使ってほしい脂肪はわずかしか利用されません。それに加え、最もカロリー消費に貢献している筋肉量も少ないので、行き場を失った脂肪が余計に蓄積されてしまいます。
ですから、運動をして体に良い脂肪を取り入れつつ、無駄な脂肪を燃焼しやすい体づくりを心がけることが、ダイエット効果を上げる近道になります。

コメント