第9回
残暑に負けないスタミナは「ピーマン」の甘味噌炒めで補う
2015.08.31 [三輪 桃加]
苦手野菜の代表とも言われるピーマンですが、年中出回り、消費量も多い野菜。苦手な理由は「苦いから」ということですが、炒め料理やピーマンの肉詰めなどに使うと、美味しく頂ける、不思議な魅力を持ちます。「熟すと甘くなる」という性質を持つからでしょうか?ピーマンの歴史と美味しさの秘密をご紹介します。
■「ピーマン」の歴史
ピーマンはナス科トウガラシ属の野菜で、トウガラシから「カプサイシン」という辛味成分が抜けた状態の野菜。緑のピーマン独特の辛味は「クェルシトリン」という成分で、赤く熟すと微量になり、食べやすくなるのが特徴です。日本には明治初期に伝わってきましたが、栽培や流通が一般化したのは戦後、食の欧米化が進んできた昭和30年頃からです。日本で育つピーマンは果肉が薄く、赤く熟してから出荷すると傷んでしまうため、緑のまま出荷されるようになったのが、「緑のピーマン」。ピーマンは本来、熟すと必ず赤くなるものです。(品種によってはオレンジや黄色の場合もあります。)近年では本来のピーマンの姿である「赤ピーマン」も、スーパーで並ぶようになってきました。年中出回っていますが、本当の旬は夏になります。
■「ピーマン」の特徴
大型のピーマン「パプリカ」はヨーロッパで主に栽培される品種で、ピーマンよりもさらに辛味成分が少ないのが特徴です。風土の違いもあり、日本のピーマンよりも果肉が丈夫なので、赤や黄、オレンジ色に熟すまで育てられ、甘味があります。またパプリカの特徴を活かし、果肉を分厚くし、大きさは本来のピーマンとほぼ同じに品種改良した「子供ピーマン」も開発され、甘く食べやすい“緑のピーマン”として、人気を集めています。ピーマンは加熱調理をすると、苦み成分が抜けて、甘味が出てきます。特にお肉との相性がよく、中華料理の炒め物メニューによく登場します。
■「ピーマン」の栄養など
ピーマンはパプリカも含み、緑黄色野菜に分類されるので、カロテンが豊富です。カロテンは頭痛予防や抜け毛予防、またウィルスや紫外線などに対する免疫力強化作用も期待できます。その他にも口臭予防にもなる「クロロフィル」、風邪予防にもなる「ビタミンC」など栄養価が高い夏野菜です。先述した緑のピーマンの辛味成分「クェルシトリン」はポリフェノールの一種で、利尿作用や、抗炎症作用もあるので、喉の痛みや夏風邪予防にもなるでしょう。そして厳しい残暑で疲れがちなカラダを癒してくれるカリウムも豊富です。
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