第20回
春限定の野菜「菜の花」の定番和え物
2016.03.29 [三輪 桃加]
2月の終わりから3月にかけて並ぶ「菜の花」は4月に入ると徐々に姿を消していく、春先限定の野菜。スーパーで菜の花を見かけると、「春が来たな…」と感じる方も多いことでしょう。日本では太古の昔から親しみのある野菜で、飛鳥時代から食べられていました。
■「菜の花」の歴史
菜の花の原産国は、中央アジア、北ヨーロッパ、地中海沿岸と、3つの地域の有力説が伝わっていますが、限定はできていません。日本では『日本書紀』に菜の花の花芽を食べていたという記述があり、飛鳥時代にはもう食用として用いられていたと考えられています。“キャノーラ油”や“菜種油”という名でお馴染みのオイルは菜の花から搾油された食用油です。室町時代には搾油法が発明されていましたが、当時は灯用の油として使用されていました。江戸時代から調理法に天ぷらなどの揚げ物料理が普及し、それ以降は食用油としても使われるようになりました。海外でも古くから菜種油が使用されており、教会での行事、アロマテラピー、など使用方法も様々です。菜の花はヨーロッパの一部の国ではマスタードの原料としても使われています。
■「菜の花」の特徴
アブラナ科の植物で茎と葉、花芽を食します。「在来種アブラナ系」と「セイヨウアブラナ系」と大きく2つに区分されています。蕾が目立ち、丈が短めのものが在来種系で日本独自のもの。茎が細長く葉も茂り、花芽が少なめのものがセイヨウ系で、ヨーロッパなどで食用とされている菜の花の種を日本で育てたものです。スーパーなどで並んでいるのは、この2種が主流ですが、品種によっては、茎が紫のもの、葉が紫と緑のリバーシブルになっているものなど、珍しいものもあり、花はほとんどの場合、黄色です。収穫後は傷みやすい野菜なので、買ってきたらすぐに調理するようにしましょう。
■「菜の花」の栄養など
緑黄色野菜に分類されるため、β-カロテンが豊富です。独特の苦み成分はイソチオシアネートと呼ばれる成分で、抗酸化作用があります。体内のウイルスや花粉などのアレルギーから身を守る働きが期待できます。他にビタミンCも豊富で、β-カロテンと共に、皮膚や体内の粘膜を健康に保つ働きがあります。また貧血予防となるカルシウムや鉄分、糖質や脂質を代謝するビタミンB群も含まれています。菜の花はアクがあるので、加熱調理をするのが一般的です。
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