第22回
「アスパラガス」ゴマ味噌和え
2016.05.24 [三輪 桃加]
5月は新緑の季節。それにあうようにスーパーでもグリーンのフレッシュな野菜たちが並びますね。アスパラガスもその一つ。ヨーロッパ原産だけであって洋食のつけあわせなど、オシャレなイメージがありますが、和食にもあい、季節の食材を大切にする懐石料理などに彩りを添えています。
■「アスパラガス」の歴史
南ヨーロッパが原産国という説が強く、紀元前2,000年ごろには栽培が始まっていました。古代ギリシャ・ローマ時代には高級野菜として栽培されており、神々の貢物や、高貴な人々の特別な食材として大切に扱われていました。また古代エジプトのパラオン王朝期の壁画やフレスコ画に、王がアスパラガスを食す絵画が残されています。当時のアスパラガスは、現代のミニアスパラガスと呼ばれる細い品種のものが主流で、太くて丈夫なアスパラガスが栽培されるようになったのは、紀元前200年ごろからと伝わっています。日本には、江戸時代にオランダ人によって長崎に伝わり、観賞用として「西洋ウド」という名で育てられていました。大正時代に入ると、北海道で薬草を研究していた下田喜久三氏により、日本独自の品種改良が成功しました。道内で自生していたホタルグサと海外から取り寄せたアスパラガスの種子を交配し、「瑞洋」という品種で栽培が本格化されたのです。こうして北海道は、日本のアスパラガスの名産地にもなりました。しかし食用として全国的に栽培が本格化したのは昭和30年代に入ってからです。
■「アスパラガス」の特徴
アスパガラスは、緑色のものが主流ですが、ホワイトアスパラや、紫アスパラも旬の5~7月にかけて、見られるようになります。ホワイトアスパラは16世紀頃、イタリアのある村の天災がキッカケで、世界中で愛される品種となりました。天災で農作物が採れず、飢餓が続いていたところ、新たに土を耕していると、土の中でアスパラガスが成長していたのを発見したのが始まりです。アスパラガスを土の中で日光に当てずに栽培する方法として広くヨーロッパに伝わりました。グリーンのものに比べると、光合成から生まれるビタミン類の含量はわずかですが、甘味が強く、食味が良いのが特徴です。紫アスパラガスは、アメリカで生まれたもので、グリーンに比べると、糖度が高く、紫野菜の特徴でもあるアントシアニンの含量が高く、3色のアスパラガスの中では一番栄養価が高いのが特徴です。しかし、日本国内での栽培は難しく、「幻のアスパラ」と呼ばれ、かなりの高級野菜となっています。
■「アスパラガス」の栄養など
グリーンアスパラを基準に、ビタミンC、β-カロテン、ビタミンB群、ビタミンE、カルシウム、ルチン、葉酸、アスパラギン酸などが豊富に含まれています。ホワイトアスパラはビタミンCやβ-カロテンの含量は少ないですが、その他の栄養素は、グリーンのものとさほど変わりません。紫アスパラは、先述の通りです。 アスパラガスの代表的な栄養素は、その名の通り、アスパラギン酸です。アミノ酸の一種ですが、新陳代謝を良くし、体内でタンパク質の合成を高めるので、疲労回復効果が高くなると考えられています。また独特の形を施す、アスパラの穂先にはルチンが豊富に含まれています。ルチンは血液の流れをよくする働きがあり、高血圧や動脈硬化の他、ビタミンCの吸収を助ける効果もあり、美容面でも注目されている成分です。ルチンはフラボノイドの一種のため、アントシアニン同様、目の細胞や粘膜を守る働きが期待できます。
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