旬の野菜と歴史 毎日の食事に取り入れる簡単野菜レシピ

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第34回
香り高い「春菊」の煮浸し

11月に入ると、鍋物がだんだんと恋しくなる季節ですね。鍋物の名脇役となるのが「春菊」。湯豆腐やすき焼き、うどんすきなど、どんな鍋物にもあい、独特の風味がたまりませんね。春菊は鍋物だけではなく、煮浸しや和え物などお総菜としても上品な風味が味わえます。お料理の副菜としても活用してみましょう。

■春菊の歴史

地中海沿岸地域が原産国と伝わっている野菜で、キク科シュンギク属の緑黄色野菜です。春菊を食べる国は世界的に見ると少なく、ヨーロッパでは食べる習慣はなく、観賞用です。その国々とは、日本を始め、中国、インド、そして東アジアの一部の地域でしか食べられていません。日本には室町時代に伝来され、古くから日本料理に欠かせない食材として親しまれていました。江戸時代の「農業全書」や「菜譜」といった農書には、当時の栽培方法が記載されています。関西方面では葉が菊の葉に似ていることから「菊菜」と呼ばれることもあります。

■春菊の特徴

春菊は、葉の切れ込みによって種類が違い、葉の切れ込みが少ない大葉、切れ込みが中ぐらいで香りが強いものが中葉、切れ込みが多く香りも強い小葉に分類されています。一般に流通しているものは中葉種が多くなっています。九州や中国地方では大葉種の栽培農家が比較的多いと言われています。小葉種の栽培農家は、近年、ほとんど見られません。
アクが強いので、日本料理などのお総菜として使用する場合は、一度、下茹でしてから使うと調味料などの味がしみこみやすくなります。鍋物ではそのまま使用することが多いですが、アクはしっかりとすくってからいただきましょう。
春菊を選ぶ際は、葉がピンとはっているものを選びましょう。古くなると、葉先のギザギザとした部分が黒ずんでドロリとしてきます。できるだけ生の状態での保存は避け、買って来たらすぐに調理するようにしましょう。保存は下茹でも含む加熱調理後のものを冷凍保存するのが適切です。

■春菊の栄養など

緑黄色野菜の中でも、β-カロテンの含有量が100g中、4,500㎍と多く、ほうれん草の数値より上回ります。また、体内の脂質や糖質の代謝を助けるビタミンB群、風邪やウイルス予防、美白に役立つビタミンC、骨や歯を健康に保つカルシウムやビタミンKなど他の栄養価も高い野菜です。そして寒さ対策や、女性の冷え予防に必要な鉄分や葉酸も補えます。こうして栄養価を見ていくだけでも、秋冬の健康には欠かせない野菜ということがわかりますね。



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