第15回
〈大腸憩室出血の内視鏡治療〉
輪ゴムで止血する低侵襲の画期的な治療法が普及中
2012.01.24 [「病気・病院・医者」]
止血するだけでなく憩室という患部そのものが消える
新しい治療法が導入される前は、5人に一人は内視鏡では対応できず、手術や血管内治療になっていたという。しかし今では、ほとんどの患者を安全かつ確実で低侵襲な内視鏡治療で治療することが可能になったと、石井医師は目を輝かせる。
「血管内治療は、血管に直接詰め物をするのですが、場合によっては広い範囲で腸が腐ってしまうリスクがあります。
それから憩室出血はダーッと勢いよく出血して、あるときぴたっと止まってしまう病気なので、ダーッと出血し続けるときは出血点が分かるのですが、一時的に止まっている時に治療を試みても、出血点が分からないので治療できませんでした。
でも、新しい治療法なら治療できますし、出血が起こった憩室自体が無くなるので、再出血のリスクもゼロではありませんが、ほぼ無くなります」(同)
聖路加国際病院の場合も、運び込まれる患者のうち、内視鏡治療が必要となる重篤なケースはおよそ3分の1。残りの3分の2は自然止血する。
「内視鏡治療になるのは、憩室からまさに出血している、憩室の中に大きな血管が飛び出している、憩室のなかにべっとりと血液がつまって栓をしている…といったケースです。
そうでない方は、しばらく食事を止めていただいて、入院していただけば回復します。食事を食べて出血がなければ、退院していただけます。特に検査も必要ありません」(同)
新しい治療法は極めて低侵襲。身体を傷つけないし、薬を飲む必要もないので副作用の心配もない。平均入院日数は5日間。
「この前学会に行ったときに、うちでも導入しましたとほかの病院の先生から声をかけられ、我々の方法が広まりつつあることを実感しました。大腸憩室出血で手術になる患者さんが減らせるのではないかと大いに期待しています」(同)
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