第5回
〈子宮がん〉
予防可能な子宮頸がんと
急増している子宮体がんの2種類
2011.07.12 [「病気・病院・医者」]
子宮体がんのピークは50代 不正出血があったらとにかく検査を
一方、子宮体がんは主として、卵巣から分泌されるホルモンのバランスが乱れることによって発生する。
「卵巣から分泌されるホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンという2種類があります。バランスよく出ていればいいのですが、閉経間際の女性や、排卵障害がある方の場合、プロゲステロンの分泌量が不足して、子宮内膜が異常増殖することがあります。そういう方の一部が子宮体がんになるのです。そのため閉経直後の50代をピークに40代、60代に多いがんです。ただ、若い方でもなる場合はあります。排卵がうまくいっていない不妊症の方に多いですね」(同)
卵巣から出るホルモンが原因の体がんは、体がん全体の8割程度。残り2割ぐらいは実は原因がよくわかっていない。
「原因はどうあれ、大事なのは検査です。子宮体がんの場合は、がんになる前や早期がんのうちから不正出血を起こします。不正出血があったら、頸がんの検査だけでなく体がんの検査も必ず受けてください。頸がんの検査では、体がんの半分しか発見できませんので、頸がんの検査を受けているから安心と思ってはいけません」(同)
検査としてはまず、子宮内膜の細胞を採取して調べる「子宮内膜細胞診」を行う。子宮内膜細胞診には、細いヘラやブラシで子宮内膜の細胞を擦り取る方法と、チューブで子宮内膜細胞を吸引する方法がある。子宮体部は子宮頚部に比べて痛みを感じやすいのでどちらの方法でも多少の痛みを感じ、検査後2~3日出血を伴うこともある。そのため検査を敬遠する女性もいるが、命には代えられない。閉経後であれば、腟の中から検査する「経腟超音波検査」が体がんの発見に役立つこともある。
子宮内膜細胞診・経腟超音波検査の結果、悪性を疑われる場合はさらに詳しい検査を受けることになる。キューレットという小さな耳かき状の器具で子宮内膜の組織を採取する組織診だ。外来で麻酔無しで行えるが、痛みや痛みに対する恐怖感がある場合には麻酔を用いることもある。
「内膜細胞診も超音波検査も完璧な検査ではないため、症状などから体がんを疑う場合は、最初から組織診が行われる場合もあります。また、細胞診が陰性だった場合でも、異常な出血が続く場合は、必ず産婦人科で診察を受けてください」(同)
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