名医に聞く

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第5回
〈子宮がん〉
予防可能な子宮頸がんと
急増している子宮体がんの2種類

早期の子宮体がんは手術で100%治せる

予防接種の普及によって今後減少が期待される子宮頸がんに対して、子宮体がんは昨今急増している。その治療法は、基本的には手術だ。

「子宮の全摘と、両方の卵巣と卵管の摘出を行います。術後には、抗がん剤による化学療法や放射線治療を追加することもありますが、手術抜きで子宮体がんを治すのは至難の業です」(同)

とはいえ、子宮は胎児を育むためには不可欠の臓器。生命の危険があろうとも、なんとか残したいと切望する女性に対して行われるのが「ホルモン療法」である。ただし、誰にでも…というわけではない。

「絶対条件は、がんがまだ子宮の内膜にだけ発生していて筋肉の中には入っていないこと。それから高分化型といってホルモンに反応しやすいタイプのがんでなければ話になりません。あとは薬が使えないような合併症がないこと。ホルモン療法のリスクと限界を理解していること。これらの条件を満たしたうえで、40歳未満で、お子さんがおらず、どうしても妊娠したいという方に限っています。でも、ホルモン治療だけでがんが消える可能性は7割ぐらい。そのうち半分は再発してしまいますから、3人に1人しか治せません。ホルモン療法の対象になる早期の子宮体がんなら、手術でほぼ100%治すことができます。だからホルモン治療は一切やらないという病院はたくさんありますよ。私も積極的に勧めることは絶対にないです」(同)

子宮という女性の根源にかかわる臓器のがんだけに、生命第一では割り切れないむずかしさがある子宮がん治療。

やはり予防と、早期発見・早期治療が大切、ということに尽きるのではないだろうか。

名医のプロフィール

子宮がんの名医

上坊 敏子(じょうぼう としこ)先生

社会保険 相模野病院 婦人科腫瘍センター長、北里大学医学部産婦人科客員教授。
数少ない“がんの手術もこなす”女性婦人科医であり、子宮体がんのホルモン療法でも定評があることから、日本全国から患者が来院する。
主な著書は、『女医さんシリーズ 子宮ガン』(主婦の友社)、『痛みのレディースクリニック』(講談社)、『知っておきたい子宮の病気』(新星出版社)。『たけしの本当は怖い家庭の医学』(テレビ朝日)などにも出演。

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