第22回
「スカートがはけない!」悩む人には女性が多いが、男性も発症
2012.06.05 [「病気・病院・医者」]
さらに…
「下肢静脈瘤の患者さんは静脈瘤に血液がたまりやすく血栓ができやすいので、エコノミークラス症候群になりやすいともいわれています」(同)
エコノミークラス症候群とは、飛行機の狭い座席に長時間座り続けていることで、下肢や骨盤の静脈内で血液が固まりやすくなり、血栓となって、立ち上がった際に血流に乗って心臓から肺へと体内を移動し、肺の動脈が詰まって肺塞栓症(はいそくせんしょう・呼吸困難や心肺停止)をおこしてしまう病気。
下肢静脈瘤は、思っている以上に怖い病気なのだ。
立ち仕事が多い職業は血管の「逆流防止弁」の故障に注意
下肢静脈瘤は、静脈内の血管の「逆流防止弁」が壊れることによって起こる。
脚の静脈は、血液を心臓へ運ぶパイプラインである。血液が足から上の心臓に向かって戻ることを、静脈還流というが、この静脈還流に大きな役目を果たしているのが、静脈の内側にある「逆流防止弁」だ。静脈の中を流れる血液が、重力によって下へ引かれて逆流するのを、くい止める働きをしている。
しかし、長い立ち仕事などで、血液の流れが鈍くなると、「逆流防止弁」が悲鳴をあげる。負担がかかり、壊れてしまうのだ。
「特に壊れやすいのは、逆流圧が大きくなりがちな脚の付け根や膝(ひざ)の裏などです。弁が壊れて正常に働かなくなってしまうと、血液は逆流し、足の下のほうに血液が溜まります。その結果、静脈がふくらんで、瘤が作られます」(同)
教師、美容師、調理師、看護婦、スチュワーデスなどの、長時間立つ仕事に従事する職業の人は要注意。その他、遺伝、妊娠出産も、リスクを高めるといわれている。
近年脚光をあびているのはレーザー治療
治療法で、近年脚光を浴びているのはレーザー治療だ。
細いレーザーファイバーを血管の内腔(ないこう)に挿入して静脈瘤を閉塞(へいそく)させたり、多様な波長の光を静脈瘤がある部分に照射したりすることによって、肌を傷めずに異常血管のみを消失させることができる。
従来からの、異常血管を抜去するストリッピング手術と比べ「低侵襲(体への負担が少ない)」、「治療による跡が目立たない」などメリットは大きい。
下肢静脈瘤レーザーは1990年頃に開発され、以降改良が進んでいる。
レーザーの個性はその波長であらわされるが、より波長の長いレーザーの開発が年々進み、現在最も高機能の機種は、波長が最も長い2000nmのレーザーだ。
波長の長さは、水分の吸収効率の違いとなってあらわれる。
初期モデルの980nmのレーザーと最新の2000nmレーザーを比較すると、なんと300倍もの開きがあるという。
「レーザーの水分への吸収効率が良いということは、短時間での処置が可能、低エネルギーでの処置が可能なため他組織へのダメージが少ない、したがって、より体にやさしく安全で、合併症のリスクも少ない手術が可能ということです」(同)
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