第23回
ED(勃起不全)薬で容易に治療可能。80代でも大丈夫
2012.06.19 [「病気・病院・医者」]
バイアグラといえば、いわゆる「腹上死(ふくじょうし)」が話題になることがあるが、心臓等への負担はどうなのだろう。
「バイアグラを飲んでいる10万人ぐらいと、飲んでいない20万人ぐらいを比べると、バイアグラを飲んでいる人の方が、心筋梗塞(こうそく)、脳溢血(いっけつ)などで死ぬ人は少ないというデータがあります。身体にいいとまではいえないにしても、服用によるリスクはないと考えていいでしょう。
ED治療薬で一番気をつけなくてはならいのは、ニトログリセリンのような、飲み合わせの悪い薬と一緒に服用しないようにすることです」(同)
心疾患でニトログリセリンを服用せざるをえないなどの理由でED治療薬を服用できない場合には、陰茎根部にリングを装着して勃起を維持する「陰圧式勃起補助具」、陰茎に薬を注射して勃起させる「陰茎海綿体注射」、人口陰茎(プロステーシス)を埋め込む「陰茎プロステーシス」といった治療法がある。
EDは大病の予兆。早めの対策で予防したい
さて、ED治療には、EDそのものの治療とは別に、注意を喚起しておいたほうがよい側面がある。それは大病との関係だ。
「心筋梗塞になった人を調べると、その数年前からEDになったというデータがあります。陰茎に血液を送る血管は直径1mmぐらい、対して心臓に血液を送る冠状動脈の血管は直径3mmぐらい。動脈硬化は細い血管から詰まってくるので、EDになるということは心疾患の予兆とも考えられるのです。
中高年でEDになった人は、できれば心臓の検査を受けて、将来の心筋梗塞を予防していただきたいと思います」(同)
それはつまり、EDになったら即、循環器の専門医を受診するべきということなのだろうか。
「残念ながら、日本ではまだそこまで状況が整ってはいません。EDも、それらの病気も数年かけて徐々に進行するものですから、自覚した際には自衛手段として、会社の産業医や人間ドックで健康チェックを受け、そこで循環器の異常が発見されたら専門医に紹介してもらうことを提案します。特に、高血圧や喫煙などの心血管疾患の危険因子を持つ人は気をつけてください」(同)
男性にとってはショックなEDも、大病の予兆として見逃さなければ、命を守るサインになる。
加齢のせいと放置せず、専門医を受診してみてはどうだろう。
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