名医に聞く

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第24回
尿もれは治療可能。泌尿器科できちんと治したい

受診前には「排尿日記」の記入がおすすめ

適切な治療を受けるには、くわしい問診が不可欠だ。

「病院を受診すると決めたら、ぜひ書いていただきたいのが、排尿日誌です。1日の間にどれくらい水分を摂取しているのか、1日のうちにどれくらいトイレへ行き、どれくらい排泄(はいせつ)しているのかを記録してください。そうすれば、問診で医師に、必要な情報をしっかりと伝えられます。病歴や投薬の有無なども整理しておくといいですね」(同)

問診のあとは、せきなどをして尿もれを調べる「ストレステスト」、膀胱や尿道の動きを調べる「Q-tipテスト」、尿もれの量を調べる「パッドテスト」、膀胱や尿道の形態をみる「鎖膀胱造影」、排尿の様子や勢い、尿道の閉じる圧力等を調べる「ウロダイナミックスタディー」といった検査を行う。
いずれも、尿失禁のタイプや治療法等を見極める上で欠かせない。

「私が特に重視しているのはウロダイナミックスタディーです。この検査によってTVTとTOT、どちらの手術が向いているかということが分かります」(同)

さて、検査をし、適応があえば手術をし、これでもう大丈夫…と思ったら、術後の患者には「尿もれは治ったが、今度は排尿困難になってしまった」というケースが意外と多いらしい。
これは、手術の際に、テープを強めに張り過ぎてしまうことで起きる。
いわば水道の蛇口を、きつく締めすぎてしまったような事態だ。

経験が少ない医師ほど、尿失禁の解消をめざしすぎて、テープをきつめのテンションにしてしまうことがあるらしい。

「私は、排尿困難も尿失禁もない、ちょうどよさをめざしたいと思っています」(同)

診療成績の数字には表れないこんな部分にこそ、患者の予後に対する医師の姿勢と熟練度があらわれる。

尿失禁で受診する場合には、術後の排尿のことまで細かく「口コミ」を集めて、評判のいい医師を選びたい。

名医のプロフィール

尿失禁の名医

巴ひかる(ともえひかる)

東京女子医科大学東医療センター
骨盤底機能再建診療部教授・診療部長, 泌尿器科教授

1983年 4月 東京女子医科大学 医学部医学科卒業。1987年 同大学院修了。医学博士。同大学、腎臓外科助手、泌尿器科助手、附属第二病院(現 東京女子医科大学東医療センター)泌尿器科講師、骨盤底機能再建診療部講師兼任を経て、2011年 1月から現職。
日本泌尿器科学会専門医、日本泌尿器科学会指導医、日本排尿機能学会理事、日本女性骨盤底医学会理事、日本老年泌尿器科学会評議員、日本泌尿器科学会「女性泌尿器科医の会」委員長。
おもな一般向け著書は、『尿もれ治療がわかる本―女性の悩み解決ガイド 』(築地書館 2002年)
『膀胱炎がわかる本―なぜあなたの膀胱炎は治らないのか 急性膀胱炎から間質性膀胱炎まで専門医が解説』(マキノ出版 2004年)。

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