第33回
めまい。全体の7割は耳から。治療は耳鼻科へ
2013.03.12 [「病気・病院・医者」]
運動療法、カウンセリングも有効。改善が見られない場合は手術も
診断の基本は問診だ。
「めまいの起こった時期や様子、そのときの聞こえの状態はどうだったか、また日常生活の過ごし方やストレス等を尋ねます。
検査は、眼振検査(めまいの程度を調べる検査)、平衡機能検査(からだのバランスがきちんととれているかを調べる検査)などのほか、脳血管障害や脳腫瘍などが原因かを診断するための小脳・脳幹機能検査、また必要に応じてMRIによる画像診断も行います」
治療には薬も使用するが、根本的に治すには、メニエール病であれば、原因となっているストレスや疲労が改善するよう環境を変えることが必要であるし、良性発作性頭位めまい症であれば、三半規管に耳石が溜まるのを防ぐ浮遊耳石置換法・運動療法が、簡単な上に効果もある。
薬物療法では利尿薬や循環改善薬を使い、これらは内耳のむくみを取り除いたり内耳機能改善させたりする。
さらに症状が重く、改善が見られない場合は、鼓室換気チューブ留置法、内リンパ嚢(のう)解放術、鼓室内薬液注入法などの手術が検討される。
「良性発作性頭位めまい症に対する運動療法は、うちの科で独自に考案したもので、自宅で行えます。
『東邦大佐倉病院方式の良性発作性頭位めまい症の運動療法』と名付けているんですがね、この療法を実行することで、通院回数を減らしながら大きな治療効果を得ることが期待されています」
しかしながら、山本医師の治療は、そうした純然たる耳鼻科的な医療を超えている感がある。というのも、めまいはストレスがそもそもの原因になっている場合が多い病気だからだ。
「治療には薬も使いますが、根本を解決しないと本当によくはなりません。カウンセリングを30分から1時間ぐらい行って、たとえば職場の人間関係が原因だと突き止めたら、実際に会社の方に来ていただき、患者さんの配置換えをお願いすることもあります。もちろん、患者さんと話し合った上で、です。
めまいの診療は、まるで人生模様を見ているようですよ」
コメント