名医に聞く

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第34回
漢方による「次の一手」で、がん難民をなくす

がん治療における漢方医学の有用性は、近年学会や論文でたびたび報告され、漢方の認知度は現代医学のなかで徐々に高まってきてきた。
また漢方薬のほとんどは健康保険でカバーされ、医師に漢方薬を処方してもらえば、高価なサプリメントや健康食品を使わなくても用いることができる。

しかし、担当するがん患者を漢方診療医に紹介して協力してがんの統合診療を行おうとするがん専門医はまだまだ少なく、がんに対する漢方診療の知識と技術を身に付けた漢方診療医の数も少ないのが現状だ。

「私は当院での7年間のがん患者の治療経験から、最先端の西洋医学と漢方医学を統合すれば、多くのがん患者は全身状態が好転し、がんとの闘いを有利に展開することができると自信を持って言えます。
漢方医学は我々日本人が先人から引き継いだ貴重な知的財産であり、がん患者の治療に極めて有用です。
がんの専門医は、患者の苦しみを十分に理解し、ご自身がうまく治療できない患者は、抱え込まずに各地域の漢方診療医に紹介するとよいのです。
多くのがん患者を紹介すれば、漢方診療医の治療技術は向上します。
昔から外科医は内科医が育てると言います。それと同様に、がん治療に優れた漢方診療医はがん専門医が育てるのです」

名医のプロフィール

漢方によるがん治療の名医

星野惠津夫 先生

がん研有明病院 漢方サポート科部長。聖マリアンナ医科大学 臨床教授。
1979年東京大学医学部卒業。日本統合医療学会理事。東亜医学協会理事。日本東洋医学会EBM委員会委員。日本内科学会指導医。米国消化器病学会(AGA)フェロー。日本消化器病学会指導医・評議員。日本消化器内視鏡学会指導医・評議員。

おもな著書は、『漢方によるがん治療の奇跡』(2013年、海竜社)、『漢方で劇的に変わるがん治療』(2010年、明治書院)。

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