第1回
人生を謳歌する糖尿病患者、フロム・ナウ匠・平松庚三氏の場合
2012.02.28 [「病気・病院・医者」]
糖尿合併症請負人、牧田医師に聞く
牧田医師とは、東京の銀座にある『AGE牧田クニック』院長・牧田善二医師のこと。
『糖尿病は専門医にまかせなさい』(文春文庫)、『糖尿病はご飯よりステーキを食べなさい』(講談社+α新書)などの著書がある、糖尿病専門医だ。
牧田医師は語る。
「私のポリシーは、患者さんの血糖値や合併症を初来院の時より必ず改善すること。ついでに、アイデンティティー(他の医師との違い)は、「糖尿病合併症請負人」(合併症を治すドクター)であることです。
これまで延べ10万人以上の患者さんを診てきましたが、壊疽(えそ)させた人は1人もいません。驚くかもしれませんが、失明させた人も皆無。血液透析に陥った人は4人いますが、いずれもどうしようもないほど腎臓が悪化してから治療を担当しました。
つまり、もし私が初めから診療したなら、患者さんに100%合併症を起こさせない自信があります。それが糖尿病専門医としての誇りです」
すばらしい治療成績だが、果たして人生を謳歌できる上に、恐ろしい合併症にもならずに済む治療法とはどういうものなのだろう?
平松氏のケースについて聞いてみた。
Q:平松氏は10年前に「血糖値が高め」と指摘されたそうです。
その時点で手を打てば、糖尿病にならずに済んだのでしょうか?
牧田医師:そうですね、私の経験から言うと、ちょっと血糖値が気になっているというレベルの人の9割は、そのままの生活を続けていれば、いずれ本物の糖尿病に移行します。
しかも、一度でも糖尿病と診断されたら治りません。
なにせ糖尿病になるには、平均12年間もの不摂生の積み重ねを要するのです。
それだけの歳月をかけて悪化させたすい臓機能が、正常に回復することは望めません。
やはり「高め」と言われた時点で、真剣に生活改善などの手を打つべきでした。
ただ、「糖尿病は治らない」あるいは「合併症によって命が脅かされる病気である」という危機意識が、日本ではまだまだ浸透していないので、どうしても手を打つのが遅くなってしまうんですね。
Q:なるほど、平松氏の場合は10年かけて「立派な糖尿病」に移行したようですが、先生が受診したときにはどういう状態だったのでしょう?
牧田医師:「ステージ3」といって、糖尿病腎症という合併症がついに出てきた段階でした。
合併症は起こしていても、自覚症状はほとんどない状態です。
Q:どのような治療をしていますか?
牧田医師:血糖コントロールと腎臓合併症(糖尿病腎症といいます)の治療(合併症治療)です。
とくに腎臓合併症を絶対に悪化させない。つまり血液透析などに至らないように守ることを主眼に置いて治療しています。
Q:お酒を飲んでも、ステーキを食べても、血糖値のコントロールに支障はないんですか?
牧田医師:お酒もアルコールも、いくら摂取しても血糖値を上げることはありません。むしろ下げます。大好きなのに、糖尿病だから肉もお酒も洋食も我慢する…なんていうのはしなくてもいい苦労です。
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