第9回
糖尿病腎症で透析寸前からラッキーな回復を遂げたMさんの場合
2012.11.27 [「病気・病院・医者」]
牧田医師にQ!AGEと糖尿病
Q:Mさんみたいに、治療によってステージ5からステージ4に回復するようなケースはよくあるんですか?
牧田:いいえ、めずらしいというか、従来の常識では考えられない成功例です。
AGE阻害薬は本当によく効くと、私も感心しました。
インスリンや糖尿病薬による血糖コントロールだけでは絶対に得られない成果です。
Q:合併症にはそれだけAGEの関与が大きいということでしょうか?
牧田:そうですね、糖尿病合併症を引き起こす重要な犯人の一人です。
Advanced Glycation End productsという英語の頭文字をとった略語で、終末糖化産物と訳されています。
血中に吸収された糖分が、タンパク質と反応してできる何百という物質の総称なんですが、糖尿病合併症以外にも、アルツハイマー病やパーキンソン病、皮膚の老化などにも関係し、様々な悪さをすることが分かっています。
Q:MさんにAGEを多く含む食品の摂取を止めさせましたよね?具体的にはどのような指示を?
牧田:コーラやコーヒーは以前AGEが高いといわれていましたが、最近の研究であまり高くないことが判明したので、大丈夫。
でも、肉や魚のこげは絶対に食べない。シリアルは禁止。パンの耳は残す。パンはトーストにしない。煮物や佃煮も一切食べない。
…細かいでしょう?
Q:細かいですね(笑)。
でも、できそうな気がします。ただ、「漬物がないとご飯を食べた気がしない」というようなバリバリの日本人にはつらいでしょうね。
牧田:そうですね。Mさんは苦労したようですよ。もう慣れたとおっしゃっていましたが。
Q:抗AGE治療は、糖尿病の患者さんすべてに効くんですか?
牧田:
いいえ、Mさんは特例です。
むしろ抗AGE治療は、
◎ステージ2=合併症が出ていない人への合併症予防
◎ステージ3=軽症合併症が出た人の合併症を治す治療
◎ステージ4=合併症がかなり進んだ人へのステージ3への改善治療
などを目的に行われています。
私のクリニックでは、初診の患者さんには必ず、身体にどれくらいAGEが溜まっているかを検査します。
そして、もしAGEが高かったら、AGEを溜めない方法を実践してもらいます。
ただ、AGE検査・治療は現在保険適用外ですけどね。
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