第10回
「力を抜くこと、無垢になること」
2015.05.31 [寒川晶子]
「無創造性に徹しよう
今行っていることをすべて正確に行う
音を音自身に還そう、彼らは人間ではない、音だ。」
とは、アメリカの現代作曲家ジョン・ケージ(1912 - 1992)による言葉。
意識をもちすぎて思いが過剰になっていくものを一度リセットし手放してみると、大事なものだけが身体に宿りバランスが取れるのかもしれません。
創造するということはいろいろなものを装飾していくことではなく、むしろ身体一つで無垢になることです。
大事なプレゼンや商談・舞台が待っているときほど、ケージのような「無」をイメージして、加えてたくさんの睡眠をとると良いのではないでしょうか。
心身をケアすることで、より豊かな創造ができるだろうと思います。
最後に、例えば空に輪郭を描いたことでできた光のアート。
ジェームズ・タレル作品
輪郭の中に存在する果てしなく広い世界がなんとも不思議な遠近感を感じさせてくれます。
キャンバスをできる限り埋め尽くすかのような西洋絵画の流行を経て、西洋美術史から発展した現代美術は発想がまるで異なった作品がたくさん生まれています。ジェームズ・タレル(1943-)はその現代美術界における巨匠の一人。
抽象的で宗教的でもあったり。時間がとまってリセットされたかのような「永遠」を思わせると同時に心が洗われます。
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