第11回
「音の自然体と神秘」
2015.06.23 [寒川晶子]
聞こえてくる音に対して、それらが意図してのサインなのか、生活音なのか、人が話しかけてきたときの声なのか、自然と人間は頭の中で認識することができます。
しかし文頭に書いたような、人の言葉の意味が理解出来ずノイズとして聞こえてくる時の音は、無意識が働いています。どんなけたたましい警告音であっても精神状態によっては他のノイズと交じり、危機に気づくことができないかもしれません。
不思議を呼び起こす人の脳ですが、一方で音そのものは、単なる物理的な発生体だけなのでしょうか。
はるか昔の日本では、音はあちらの世界と最も通じ合うものだと信じられていたので、寺院のような神聖な場所ではあちらの世界と交信するための鐘が置かれています。次第にお香やお経、火などもあちらと通じるものとして捉えられていくそうです。
おおみそかの除夜の鐘は、はるかかなたへと通じる境界の役目を果たしている神聖な音なのですね。年末は意識して除夜の鐘を聞いてみると、新年を素晴らしい気持ちで迎えることが出来そうです。
また、この時期らしい音といえば「風鈴」。イメージするだけで体に涼しい風が吹くかのようです。風を通じてご先祖様の声を感じてみるのも素敵ですね。そうしている間にもうすぐお盆です。迎え火を焚いてご先祖様のお帰りを待つ時期でもあります。
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