第17回
「1年を締めくくる」
2015.12.30 [寒川晶子]
12月に入り、今年も残すところあと少しですね。
クリスマスを迎えましたが、クリスマスといえばイエス・キリストの誕生日です。
私もクリスマスイベントに便乗し、賛美歌や「きよしこの夜」をピアノで演奏しています。
イベントに合わせてその季節にふさわしい音楽を演奏するのは私の趣味の一つでもあります。
ここで少し、イエス・キリストにちなんだお話を書いてみようと思います。
現在聞き馴染みのあるほとんどの音楽には、音楽を成り立たせる要素に3和音、3度堆積、3つの機能 があります。これらはキリスト教で完全を表す三位一体(父・子・聖霊)が出自だとも言われるほど、キリスト教の発展と共に成長したものでした。
3和音とは、3つの音が串だんごのように3度(*)という関係で堆積し、3つが一緒になりながら展開していきます。また、串だんごになった3和音は底辺に来る音をだるま落としのように抜いて上段に持っていくことも可能で、底辺の音の組み替えが一周するまで転回する機能があります。転回すると同じ音の組み合わせでも響きが変わるので、まるで違う音が鳴っているかのような感覚が起こることもあります。
この3和音の歴史は、1450年頃~1600年頃のルネッサンス音楽の時期になりますが、この1450年頃を境にして(記録に残っていない世俗音楽などではもっと早い時期から3和音は意識されていたかもしれないですが)、この時期に各パートの横の関係以上に、縦の関係を重視するようになります。このルネッサンス期に確立された3和音の関係が近代の和声学を確立していきます。そして1600年頃~1750年頃のバロック音楽の時期にはこの和声学はすでに確固たる地位を築き、十二平均律(*)が一般化します。十二平均律が一般化することで転調(ピッチ/コードの変更)が容易に行えるようになり、鍵盤楽器を中心とした音楽の表現力が大幅に増大しました。この時期に活躍していたのがバッハです。皆さんが聞き馴染みのある音楽はこの頃に築かれた音の仕組みによります。
その後も、古典派/ロマン派/近現代などとクラシック音楽が発展していくのですが、日本にあふれているポピュラー音楽もこの3和音を基軸として理論が応用されています。「コード」理論は3和音の理論ですのでこの基本をおさえれば、ピッチについての全てを暗記しなくてもロジックによって解くことが可能になります。
私のように「きよしこの夜」や「ジングルベル」などを歌いながらクリスマスを過ごした方も多いかと思います。だんごハーモニーの歴史を感じながらイベントを迎えるには音楽史を見ても最適な日でしょう。
そしてクリスマスが過ぎれば、やがて早くもお正月の準備です。
宗教行事を軽く飛び越えてしまうメンタリティは日本ならでは(!?)でしょう。笑
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