第27回
美味しそうな風景!? ~アメリカ・バリアキャニオン~
2016.01.21 [秋野 深]
今月で「写真家・秋野深のやさしい旅のフォトレッスン」の連載もなんと3年目に突入です!
これまでのレッスンでは、捉え方や撮影時の注意点などについてお伝えしてきました。今回からは、撮影地の紹介や撮影エピソードなども含めたレッスンをお届けしていきます。
私が写真家としてこれまで訪れた国内外の様々な魅力的なところをご紹介していきますのでお楽しみに!
もちろん、これまで通り、肩の力を抜いてお読みいただけるフォトレッスンであることは変わりありません。2016年も、どうぞよろしくお願いいたします。
今回ご紹介するのは、アメリカ中西部のアリゾナ州・ユタ州の州境付近に位置するパリアキャニオン。ここは国立公園でも州立公園でもなく、正確には「パリアキャニオン・ヴァーミリオンクリフス・ウィルダネス(Paria Canyon-Vermilion Cliffs Wilderness)」という自然特別保護区のようなエリアなのです。広さは約500km四方で、乾燥した大地に砂漠と岩山がひたすら続きます。
【写真1】
【写真1】は、そのエリア内にある「ザ・ウェーブ(The Wave)」と呼ばれる岩山の中の窪地です。その名の通り、むき出しになった地層が波打っていて地球上とは思えないような景観です。これは砂漠に降った雨が、長い年月をかけて岩肌を侵食してできたものです。気の遠くなるようなスケールの大きなアメリカ西部の大地に、こんなにも繊細で美しい模様を作り上げてしまう自然の営みは本当に驚嘆に値するものですよね。その場に立って周囲を見回してみると、本当に目が回るような、遠近感がおかしくなるような不思議な感覚に襲われました。そこで私は、その不思議さが象徴的に表現できそうな場所を探しました。【写真2】はそうして撮影した1枚です。自分は地面に立っているだけなのに、なんだか動かされているような、地面が動いているような感じがしたのを覚えています。
【写真1】
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