写真家・秋野深のやさしい旅のフォトレッスン

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第40回
神々の遊ぶ庭園 ~アメリカ・ヨセミテ国立公園~

カリフォルニア州の中ほどに位置する世界遺産のヨセミテ国立公園は、アメリカ本土の中では日本からのアクセスが近いこともあって日本人にも大変人気のある自然公園です。数万年前に氷河によって削られたヨセミテ渓谷の景観に魅せられた芸術家は多く、中でも、アメリカで最も著名な写真家とされるアンセル・アダムスが、生涯に渡って撮り続けたことでも知られています。

ヨセミテの美しさを象徴しているのは、なんといっても地殻の隆起と氷河の浸食によって生まれた見事な岩壁と、落差の大きい大瀑布の存在でしょう。

【写真1】
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渓谷に足を踏み入れた途端に訪問者を圧倒してくるのは、世界最大の花崗岩エル・キャピタン。
【写真2】
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そして、渓谷の奥深くに堂々とそびえ立つ高さ約1500mのハーフドームは、ヨセミテのシンボルにもなっています。
【写真3】
【写真3】

どちらの岩も世界中のロッククライマーの聖地とされている大岩壁です。信じがたいことに、垂直に切り立った岩壁を登る途中でクライマーは一泊するんだそうです!

アメリカの自然というと、きっと多くの方が、ワイルドでスケールの大きな景観を想像することでしょう。このヨセミテも、世界第3位の落差739mを誇るヨセミテ滝を筆頭に、世界中の落差の大きい滝ベスト10のうち4つがあって、渓谷全体の景観がいかに迫力に満ちているものであるかということを物語っています。

ところが不思議なことに、ヨセミテ渓谷に足を踏み入れると、スケールの大きさとは裏腹に、どこか全体として庭園のような雰囲気も感じられるのです。
「大自然」と「庭園」・・・。なんだか真逆のようですが、巨大な渓谷内にある数々の巨岩や滝は、まるで誰かが意図的に配置したのではないかと思うほど、見事にバランスよく点在しているのです。それがまさに、ヨセミテが「神々の遊ぶ庭園」と称されてきた所以でもあります。
そのバランスの妙は、ちょっと飛躍しすぎかもしれませんが、樹木や岩や滝がバランスよく配置されている日本庭園と近いものがあるような気さえするのです。信じられないようなスケールの大きな岩壁や滝を目の前にしているというのに「庭園」としての魅力を感じさせてくれる・・・その不思議さが、何よりヨセミテの自然の個性なのかもしれません。

ヨセミテを訪れた時には、大自然に包まれつつ、ぜひ、そんな魅力にも思いを馳せてみてください。多くの先達がヨセミテに惹かれた理由を、きっと実感していただけることでしょう。

■ワンポイントフォトレッスン

【写真2】
【写真2】

写真を撮る時に、順光、逆光といった光の向きがとても重要であることは、これまでのレッスンでもたびたび触れてきました。光は常に影とセットになって、写真全体の雰囲気を大きく左右します。
この写真は順光、つまり被写体に対して正面から光があたる時間帯に撮影しています。そのため、岩は明るく、青空も色濃く写っています。
もちろん、どんな光の時がよい、という正解はありません。少し斜めから光があたる時間帯なら、適度に影が付いて、岩のような被写体はとても立体的に写ります。大切なことは、その時の光をうまくいかすことです。
旅先で同じところに長時間いるときなどは、もう撮影してしまったから、と一度で済ませてしまわずに、時間が経ってから改めて被写体を観察してみてください。光の変化で同じ被写体でも違う写り方になることを実感していただけると思います。

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