大人の旅(人生)のはじめ方

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第8回
日本の夏の風物詩 お祭りと花火をより楽しむために

日本には四季があり、そのため同じ観光地やリゾート地であっても違う表情で私たちを楽しませてくれます。例えば日本を代表する観光地の一つと言える京都。そこでは春の桜、夏の伝統行事、秋の紅葉、冬の雪景色といった様相で、同じ社寺、景勝地であっても趣が変わり、折々の風情に浸ることができます。
また、旅は五感で楽しむことのできるものですから、風景だけに留まらず、例えば食という切り口も絡めれば、季節ごとに多種多様な悦楽を享受できるものです。

さて今年は冬の寒さが残り、日本各地から桜の便りが聞こえてきたのは例年より遅いものとなりました。
梅雨のころを過ぎると、いよいよ最大の旅行シーズンとなる夏本番を迎えます。夏ならではの楽しみは様々ありますが、なかでも歴史と伝統に培われた各地のお祭りや花火大会などは、この時期の旅の目的として欠かせないものといえましょう。
それぞれに故事来歴がありますが、そのお祭りや花火大会が行われる歴史的背景を知ることで、単にきれい、豪華、迫力満点といった印象だけでなく、より深い印象を心に刻むことになると思います。

例えば、動く美術館とも称される豪華絢爛(けんらん)な山鉾(やまぼこ)が市中を練り歩く(山鉾巡行)京都の祇園祭(ぎおんまつり)は、平安時代前期に京で疫病が流行した際、広大な庭園に当時の国の数にちなんで66本の鉾を立て、祇園の神を迎えて災厄が取り除かれるよう祈ったことが始まりとされています。
一つ一つの山鉾の形や装飾には、それぞれ伝説や歴史があり、それを事前に調べてから実際のものを見にお出かけになれば、より思い出深い旅となることでしょう。
またこのお祭りは、7/14~16の夕刻以降に行われる、山鉾にちょうちんが数多く灯され祇園囃子(ぎおんばやし)がにぎやかに奏でられる宵山、そして7/17に行われる山鉾巡行だけと思われている方も多くいらっしゃいますが、実際は7月1日から31日の1ヶ月間にわたって様々な行事が行われています。

そして日本三大花火大会の一つとして知られる長岡の花火大会は、昭和20年8月1日の空襲で亡くなられた人々への慰霊、復興へ尽力された人々への感謝の念が込められています。夏の夜空を鮮やかに染め上げる花火の数々は、まさに迫力とともに美麗さも感じさせるものですが、人々の平和への願いを表現したものであるのです。
もう一つ心に留めておきたいことは、そのお祭りや花火をどのように鑑賞するかということです。大勢の観衆が訪れるお祭りや花火大会では、人の頭の隙間からしか見られないということですと、その楽しさも半減してしまいます。じっくりと鑑賞するためには、観覧席が設定してあるものが良いのですが、個人で手配しようとしてもなかなかうまくいかないことも多くあります。

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