第5回
この年末年始は音楽をテーマに海外で…
2011.09.27 [旅の達人集団]
年末年始に音楽をテーマに旅行される方の多くは、ウィーンで年を越されています。しかし、今年はその傾向が大きく変わりそうです。音楽の国ドイツへ行かれる方が大幅に増えているのです。
ドイツには、ウィーン・フィルと並んで、音楽界のトップに君臨するベルリン・フィルがあります。
さらに、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ドレスデン・シュターツカペレ(ドレスデン・ゼンパー歌劇場)、ベルリン・シュターツカペレ(ベルリン国立歌劇場)といった日本でもおなじみの名門オーケストラがその名声を競い合っています。年末年始は、それらのオーケストラの特別演奏会を連日連夜、聴き比べることができるからです。
特に、ドレスデン・シュターツカペレのジルベスター(大みそか)コンサートが昨年から新たに加わったことで、ドイツの4つの名門オーケストラの競演という魅力は、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートをしのぐほどになったといえるでしょう。
ザクセン選帝侯の居城都市として栄えた街ドレスデンは、1694年に即位したアウグスト強侯の治世に全盛期を迎え、1806年に王国に昇格後ザクセン王国の首都としてさらなる発展を遂げました。
エルベ河畔に広がった旧市街は、第2次世界大戦終戦前の1945年2月13日からの数日間に空爆によって灰と化してしまいましたが、その美しいバロックの街並みは見事に復活し、古き良き時代を伝えるドイツでは数少ない都市の一つです。
また、宮廷文化の栄えた街としても知られ、その象徴的存在でもあるドレスデン・シュターツカペレは、1548年に宮廷楽団として創立されて以来、今日に至るまで演奏活動を続けている世界最古のオーケストラで、昨年初めてジルベスターコンサートを催して大きな話題になりました。ドイツ国内にテレビ生中継されたことも注目された一因です。
演奏会場のゼンパー歌劇場は、伝統的なヨーロッパの歌劇場の中でも最も美しいといわれ、ワーグナーの初期の作品「さまよえるオランダ人」や「タンホイザー」、R.シュトラウスの代表作「サロメ」や「ばらの騎士」が初演されるなど、音楽史上大きな役割も果たしている名門です。
ウィーン国立歌劇場同様、過去に何度か引っ越し公演で来日して絶賛されたゼンパー歌劇場ですが、やはり歴史の重みを感じさせる劇場が醸し出す独特の雰囲気の中で、スター指揮者、歌手が出演する特別演奏会が鑑賞できる素晴らしさに優る「体験」はないでしょう。
ゼンパー歌劇場や楽友協会ホールとは対照的に、近代コンサートホールの原点と呼ばれているのが、ベルリン・フィルの拠点ホール、フィルハーモニーです。
ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートに対抗して、1977年に指揮者カラヤンが始めたベルリン・フィルのジルベスターコンサートも、全世界にテレビ生中継され、年末の特別演奏会の代名詞的音楽イベントとしてよく知られています。
伝統的にJ.シュトラウス・ファミリーの作品を演奏するウィーン・フィルのニューイヤーコンサートとは違い、毎年著名なソリストを招き、演奏曲目にも変化を持たせ、巨大空間に鳴り響くスケールの大きな演奏を楽しませてくれるのが魅力です。
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