第3回
世にも怪奇なビートルズ
2011.06.07 [島 敏光]
僕は前回のこのコラムで
「ビートルズのオリジナルを超えるカバー曲はない」
と断言してしまったが、では、お金を出して買うだけの価値のあるCDがないのかと言えば、決してそんなことはない。
今回は、僕がもっとも気に入っている、ビートルズの世にも怪奇なカバー・アルバムを紹介しよう。
「エキゾチック・ビートルズ」(全26曲入り、¥2,835、発売元MSI)
このCDにはビートルズのカバーの中でも特にヘンテコなものばかりがこれでもかと収録されている。
珍品中の珍品は「スター・トレック」シリーズのカーク艦長役で知られるウィリアム・シャトナーの「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」。
BGMにのせてただただ歌詞をドラマチックに朗読するだけだが、マジカルな宇宙ツアーに参加したような気分になれる。
「熱情の花」で知られるカテリーナ・ヴァレンテがイタリア語で歌うボサ・ノバ風の「フール・オン・ザ・ヒル」やフラメンコ・バージョンの「シー・ラヴズ・ユー」はカッコ良すぎて笑っていいのか感心していいのか判断に迷ってしまう。
爆笑したのは犬の鳴き声による「恋を抱きしめよう」。
犬が歌うだけならわんわん合唱団(シンギング・ドッグス)の「ジングル・ベル」がおなじみだが、こちらはキュートな猫が絶妙な合いの手を入れてくる。
さらにサビの「Life is very short~」という部分でニワトリが「コッコッココッコッ~」と歌い出した時は思わずのたうちまわった。動物たちのシンコペーションが見事にキマッている。
これさえ聞けばこの不景気もきっと乗り越えられるような気がする。
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