荒野のエッセイスト(音楽編)

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第24回
清水ミチコ物語*

第三位はピントはずれの実況と解説による「野球中継」
第二位は田中真紀子によく似たマッキーと
土井たか子によく似たタッキーの2人が漫才をする「お好み演芸会」
そして、恥と栄光の第一位は
フランソワ・アルディーが「さよならを教えて」の
タイトルで発表したこともあるフレンチ・ポップス。
タイトルは「イェル・ケ・クク(Hier Qu'est coucou)」とあるが、これは大ウソ。
日本語で「言えるけ九九?」と尋ねているのである。
これはもう絶品ですね。
エキセントリックなまでの完成度!

最初に聞いた時は
ちょっと日本語っぽく聞こえるニセのフランス語かと思ったが、
よく聞くと「ゴクシジュウゴ」と掛け算の九九を口ずさんでいる。
ところが7の段になると、苦手のようでチョコチョコ間違う。
途中からお母さんが登場して応援するが、
どうにもラチがあかない。
あきれ返って「ジュクイケボクー(塾行け、僕)」などとアドバイス。
最終的には2人で晩ごはんで「サバ」を食べ、物語は終わる。
母と娘のちょっとした大河ドラマに仕上がっている。
僕には、この作品は黒澤明の「七人の侍」クラスの名作に思える。
いや、スマン、言い過ぎた。

何はともあれ、清水ミチコの才能と底意地悪さに脱帽。
ジャケ写も何かムカつく。
裏面の写真では花がしおれて、頭をたれている。
居直った女はいつも、
イタくて、おかしくて、カッコいい!

清水ミチコ BEST 清水ミチコ物語*

あなたと“ミチコ”の素敵なメモリーを綴った
25編のストーリー!
発売元ソニー
定価¥2,800(税抜価格¥2,667)

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