第26回
なぜ、ここで、この曲が?
2012.09.11 [島 敏光]
第2位……。
とあるデパート。
僕は開店と同時に店内に駆け込む。
その時、耳に飛び込んできたのは、
メアリー・ホプキンの「グッド・バイ」。
入店したとたんにグッド・バイと連呼され、
僕は思わずムッとする。
これはおそらくデパート側のうっかりだろう。
僕は思う。
この曲は閉店の時にかけてくれ。
そして、いよいよ栄光の第一位は……。
中国湖南省。
武陵源風景名勝区の断崖絶壁に、
百龍天梯という世界最長のエレベーターがある。
日本人向けのケージもあり、
そこには日本語のナレーションも流れる。
このエレベーターは全長335メートル、
所要時間は1分58秒、
などなど……。
そのBGMに使われていたのが
日本でも大ヒットしたある映画のテーマ曲。
その主題歌はあまりにも意外な曲だった。
中国映画なら納得だし、
この地を舞台にした「アバター」という手もある。
百歩ゆずって「80日間世界一周」「エデンの東」「トップガン」……。
ところが、そこに流れていたのは
オリヴィア・ハッセイ、レナート・ホワイティグ主演の
「ロミオとジュリエット」(1968年)のテーマ曲。
武陵源の世界最長のエレベーター
「百龍天梯」
ロミオとジュリエット
世界自然遺産にも登録された世にもまれなる絶景を
ガラス張りの扉ごしに眺めながら、
哀愁に満ちたテーマ曲を聞く。
全く意味が分からない。
これぞワースト・チョイス。
おそらく意味はないのだろう。
だけど、僕の心は千々に乱れる。
もう少し選曲には気使ってほしい。
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