第35回
宮殿のキング・オブ・ロックンロール
2013.06.25 [島 敏光]
クロアチア……
地図で言うとルーマニアの下、つまり南側。
左(西側)はアドリア海、右(東側)はボスニア・ヘルツェゴビナ。
まっ青な海とオレンジ色のかわら屋根。
これぞ古き良きヨーロッパという印象。
正確にはクロアチア共和国。
この国には6つの世界遺産があるが、
そのうちに一つがスプリットという海辺の街。
ここの何がすごいのかと言えば、
約1700年前の宮殿の中に、一つの街が作られているのだ。
その中に土産店やカフェや市場が立ち並び、
地下宮殿はショッピングモールになっている。
宮殿のようなショッピングモールは見たことはあるが、
本物の宮殿の中にあるとなれば、
これは前代未聞だ。
雑貨店の柱が7世紀の遺跡だったりする。
ぶらぶらと歩いているうちに頭の中で
現代と古代ローマが
いい感じに混乱する。
そのカオスに身を委ねていると不意に
オールディーズ・マニアの僕のセンサーに何かが引っかかった。
「あれっ?」
僕は足を止め、辺りを見渡す。
土産物屋の片隅に、沢山のマッチが売っている……。
そこにエルヴィスの姿があった。
マッチ箱のラベルには美しい風景、建造物、動物等に交ざって、
エルヴィス・プレスリーの顔写真が印刷されていた。
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