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第14回
別れの美学

この「ローズ家の戦争」は、別れたくない夫と別れたい妻のお話でした。
何とか関係を修復しようと試みる夫に対し、妻からの絶対的で圧倒的な拒絶。そして、争いにまで発展していくというストーリーですが、ブラックユーモアテイストの映画ですので、笑いの要素がしっかり入っており、設定は過激ですが楽しく見られる映画です。
さて、この映画に描かれているように、両者合意という円満な別れは少なく、どちらか一方が別れたくなり、相手を説得していくという流れになる場合が一般的です。別れを言い出された方に、相手への未練や愛情が残っていれば、それは「戦争」に近い深刻なケースに発展する場合もあります。逆に、「仕方ない」と納得して、別れをあっさりと選択する人もいます。
しかしながら、最近は別れに対して、絶対に受け入れられないという人が男女問わず増加しています。ストーカー殺人にまで発展することもあり、昭和の時代に比べ、このようなケースが増えています。
私も職業柄、恋愛相談や婚活アドバイスを求められますが、最近は相手にどうしたら気に入られるか、付き合えるかという相談と同じくらい、どうしたら別れられるかという相談が増えてきています。それだけ、別れということが受け入れられず、攻撃的になる人が増えているのです。
別れは、誰しも辛いものです。
別れを告げる方も、告げられる方も、同じ痛みを感じています。だからこそ、もし別れを告げられたら、このコラム読者の男性は辛くとも笑顔で対応してください。気持ちが離れている女性に対し、力技で取り戻そうとしても、泣き落としをしても、気持ちを戻すことはできません。女性は過去を振り返らない傾向が男性より強いため、決めるまではぐずぐずしますが、決めた後の迷いのなさは男性よりはるかに強いものです。
もし、その女性を失いたくなければ、キャッチ・アンド・リリースではありませんが、一旦リリースしてみましょう。そうすることで、またあなたの元に帰ってくる可能性が残ります。
けれど、ストーカーのような執着を態度や言葉で表すと、決定的な嫌悪感を相手に植え付けることとなり、「二度と顔を見たくない」と言われるほど最悪の関係に陥りますので、納得がいかずとも、ここで男気を見せてください。
「別れたい」
と女性から告げられたとき、理由を聞き、自分に対する気持ちがもう無いと分かったら、そこで 「ありがとう」
とお礼を言って、相手を解放してあげましょう。
これができれば、時間がたつにつれ、もしかすると相手の中にあなたへの新しい気持ちが芽生えるかもしれません。
別れのときに、その人の人間性が如実に表れます。どうしても別れたくなければ、冷却期間を置くことを提案してみてください。一定期間会わないと、またお互いへの気持ちが戻る可能性があります。少なくとも、「ローズ家の戦争」のダンナ様のように、徹底的に相手を攻撃した上で「別れたくない」と言っても、相手の女性は、「もうこりごり」としか思いません。
別れは辛い経験ですが、そのときこそ格好良い姿を見せる、それが男の美学であり、別れの美学であってほしいと願います。

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