第36回
コミュニケーション力が付く“ものがたり” ~前篇~
2015.07.13 [西澤 史子]
時代と共に変化するコミュンケーション。
例えば、対面が基本だった世代とオンラインが基本の世代ではコミュニケーションの手法や表現が異なります。
いつの時代もコミュニケーションによるストレスやミスが絶えないのは、この様にコミュニケーションの手法や表現が時間経過と共に変化していくからでしょう。
コミュニケーション力を上げる為には新しい情報に触れ、違う世代と実際にコミュニケーションを取っていく必要があります。と言っても色々な世代とまんべんなくコミュニケーションを取るのは難しいもの。
今回はコミュニケーション力が付くコンテンツ、“ものがたり”について。
“ものがたり” コンテンツとは小説、漫画、映画、テレビドラマなどの人の会話や心理、人間関係描写が多く出てくるストーリー性があるコンテンツを指します。
ハウツーやマニュアルは情報がメインのコンテンツです。情報は情報であり、そこに“人と人”の関わりはほとんど出てきません。最近は情報系作品を“ものがたり”風に構成する“もしドラ”の様な表現の作品も多く出ていますが “ものがたり”コンテンツに比べると情報の理解という狙いに照準を合わせた“ものがたり”は短い再現ドラマの様なわざとらしさが漂い、コミュニケーション力を付ける為のコンテンツとしては弱いと言わざるを得ません。
“ものがたり”には人の会話や心理、人間関係描写が必ず出てきます。
そして、これらのプロの書き手は 質の高い“ものがたり”を描く為に、事実、事象に関する広く、深いリサーチをして、そこに登場する人物たちの会話や心理、人間関係描写をあたかもそれが存在する様に、鮮やかに“ものがたり”の世界を描いていきます。
まず小説ですが、最近多くのヒット作を世に送り出している百田尚樹さんの作品を例にとってみましょう。彼は、作品を執筆する際に徹底したリサーチをすることで有名です。
オオスズメバチの働き蜂を主人公にした「風の中のマリア」のインタビューでは「蜂博士になれる位、徹底的にリサーチした」と答えていました。百田尚樹さんは同じテーマの小説は絶対に書かないことでも有名です。
それだけ調べた情報を一作に惜しみなく注ぎ込むからこそ、多くの人の心を捉え、惹きつける“ものがたり”の世界を描けるのでしょう。
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