第52回
現役を退く、その時に備えておくこととは
2016.03.26 [西澤 史子]
清原元選手の逮捕。
間違いなく私たちの世代のヒーローの一人である彼の逮捕は大きな衝撃でした。
PL学園の1年生で甲子園に出場し、記憶に残る活躍をした清原元選手。
当時、女子高生だった私はテレビに釘付けになり
「すごい同級生がいる」
と興奮していたことを鮮明に憶えています。
歴史が証明しているのは、光の中を歩んでいく人はごく僅かであり更にその時間も長くは続かないという事です。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらはす
おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし
たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ
地位や名誉、権力も財力もただ春の夜の夢の如く永くは続かないからこそチャンスが巡り、歴史は作られていきます。
まだ見ぬ頂を想像し上を目指し登って行く事は、一つ一つステップが上がっていく喜びを伴う楽しさがあります。けれど上に行けば行く程、そこから落ちる事や降りる事に恐怖を感じます。たから一定以上の成功をした人程、自分が手にしている力を手放し降りる覚悟を決める事はそう容易ではないのでしょう。
清原元選手もスター街道を歩んできたからこそ、力と若さが衰え”何者でもない自分“になっていく現実と上手く向き合えずに危険な薬物に救いを求め、依存したのかもしれません。
主役や現役を退いた時に直面するのは孤独と疎外感です。
どんな成功者も権力者もいずれは立場を譲り、現役を退く時が訪れます。
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