第64回
リーダーとしてのインプレッション・マネジメント 前編
2016.11.11 [西澤 史子]
小池東京都知事が就任してから俄然東京都への注目度が高まっています。
小池東京都知事はインプレッション・マネジメントが素晴らしく上手い。
メディアを巻き込む劇場型コミュニケーション戦略の場合、その人のインプレッションがいかに重要なのかをあらためて実感しています。
対する民進党の蓮舫代表は感情が伝わりやすいタイプです。
感情が伝わりやすい蓮舫代表と感情を巧みに隠す小池都知事という違うタイプの二人をケース・スタディとして興味深く見ています。
あらゆる情報がWEB,SNSを介してスピーディーに拡散する現在、組織や企業のリーダー自らが積極的に発信者となり、その組織や企業のブランドを作っていく時代であると言っても過言ではありません。
今回は、自らの印象とコミュニケーションをマネジメントし、伝えたいメッセージが伝わるリーダー向けのインプレッション・マネジメントについて前編と後編に分けて解説していきます。
因みにインプレッション・マネジメントとは、印象を管理、コントロールすることで自分が与えたい印象を相手に与えるコミュニケーション・スキルです。
“メラビアンの法則”を復習してみましょう。
人が印象を決める三つのVとその割合を憶えていますか?
Visual(見た目),Voice(声と話し方),Verbal(話の内容)で、それぞれ7:2:1位の割合です。
印象の9割を占めるVisual(見た目),Voice(声と話し方)がインプレッション・マネジメントの鍵になります。
リーダーとしてのVisualマネジメント
与えたい印象要素は信頼、エネルギー、冷静です。
信頼の印象は表情の安定感に注意を払ってください。
不安定で変化が激しい表情は人の不安を喚起します。
自分の話に惹きつける為には表情は笑顔をベースに、話の内容によって表情を変えていくと聞き手の感情が喚起し、話し手への共感・同調を得やすくなります。
けれど、信頼を感じさせたい場合、話し手は表情を余り変えない様にします。
小池都知事と蓮舫代表を比べてみると、小池都知事の表情変化に比べ蓮舫代表の変化の幅の方が大きいことに気付きませんか。表情は聞き手の感情を喚起するスイッチになってしまう為、その変化が大きいと聞き手はそれにつられて自分の感情を揺さぶられます。揺さぶられるという事は惹きつける要素になりますが、感情の安定感を感じにくい為、”信頼“と言う要素を強めたい場合は逆作用してしまいます。
だから、真顔から少し歯をのぞかせる位の微笑みにとどめている小池都知事の方が蓮舫代表に比べると感情が安定している印象を与え、信頼を感じさせる事については一つ上になります。
エネルギッシュな印象は姿勢で演出します。
猫背、肩を落とす姿勢は元気がない、自身がない、弱いという印象に繋がります。
背筋を伸ばし、肩を少し後ろにひいて胸を軽く張る様にしてください。背筋を伸ばした姿勢は腹筋と背筋を使います。リーダーは腹筋と背筋、そして下半身のトレーニングを取り入れ、姿勢を正しく保つ筋力を維持しましょう。
足は肩幅程度に開き、少し押された位でぐらつかない様なポジションで立ちます。
足を揃えた直立姿勢はぐらつきやすく不安定な印象を与えます。女性は左右どちらかの足に体重を乗せた休めの姿勢がおすすめです。但し腕組みはNGです。腕組みはクローズト・スタンスとなる為、相手を受け容れない、自分を守るというボディ・メッセージを発信します。手は体の前か後ろで指を絡ませて軽く結んでおきましょう。
背筋を伸ばしまっすぐ立つ姿だけでエネルギッシュな印象を強める事が出来ます。
冷静である印象は動作速度が重要です。
早い身振り手振り、動きは厳禁です。ゆっくりとした身振り手振り、動きを心がけましょう。
早い動きは恐怖や逃走を連想させ、人の不安を喚起します。早い身振り手振りや動きは焦り、不安、落ち着きがない印象を与えます。記者会見で鋭い質問に詰められている人がアップになった瞬間、瞬きが増えている表情が画面いっぱいに映し出されることがありますよね。瞬きが増えると焦ったように見え、冷静さを失っている印象を与えます。猪瀬元東京都知事はもともと瞬きが多い印象でしたが、一連の問題で記者から詰められた会見で、この瞬きが焦っている印象や嘘をついてるから内心不安なのではないかという印象を強めてしまった様に感じました。
マスメディアに登場する程の立場のリーダーは瞬きまで配慮する必要があるのです。
瞬きを含めて動作はゆっくりと、または動いた後に止まる、止めるなどの動作を入れましょう。ゆっくりとした動きは人の安心感を呼び起こし、冷静である印象を与えるのです。
次回はVoiceについて。
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