第21回
尊厳欲求と自分を愛するという事について ~後編~
2014.10.28 [西澤 史子]
トラウマの話に戻りますが、人は辛く苦しい現実から心を守る防衛本能が働く為、現実から逃避しようとします。虐待を受けている子供が、虐待をする親ではなく虐待される自分が悪いと思い込んだり、DV被害者がパートナーは愛してくれているから暴力を振るうのだと解釈をゆがめてしまうケースは、この心の防衛本能が働いた結果です。本当にせつなく悲しい事です。
そしてこの様なトラウマを克服し、自分を愛し、他の人からの承認が感じられ、尊厳欲求が充たされたなら、心に自信と余裕が生まれます。そうしたら、あなたから他の人の尊厳欲求を充たす様な温かく思いやりに溢れた言葉をプレゼントして下さい。
言葉は人を傷つけることも、救うこともできるからこそ、沢山の人が救いに感じる温かい言葉を多く発して欲しいと願っています。感謝する、褒める、共感する、賛同する、同情する、慰める、励ます言葉たちは人の救いになります。特に人は誰かから感謝されたい、褒められたいと願っています。だから、感謝を表す言葉や褒める言葉を多く発していくと、周りの人の笑顔が増えていきます。多くの人を笑顔に出来る人、それが”人望がある“と呼ばれる人でしょう。
自分の中の「愛」を入れる器を、自分への「愛」と他の人からの「愛」で満たしていく。いっぱいになるとその器から、「愛」がこぼれていき、他の人に降り注ぐ。 自分を愛する。これがしっかりと根付いていれば、どんな苦難が待ち受けようと必ず乗り越えていける強さと他の人へ感謝し、慈しむ心のゆとりを持つことが出来ます。
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