第11回
紳士は我慢!の優雅な時間(ひととき)
2011.09.06 [藤井 寛子]
The Ritz LONDON
「Excuse me…Sir.」、スーツの上着を脱ごうとした父にホテルのスタッフがさりげなく声をかけてきました。宿泊先であるロンドンのThe Ritz Hotel でアフタヌーン・ティーをしていた時のことです。
この日は、英国の画商である私の友人Brianが、毎年行われる「Summer Exhibition」の案内をしてくれたので、朝から歩きまわった父は、よほどのどが渇いていたのでしょう。一気に2杯の熱いミルクティーを飲み干して汗をかいてしまったのです。そして、何も考えずに上着を脱ごうとしたのです。
父は少し驚いた様子で、「だめなの?」とBrianに聞きました。彼は、「我慢(patient)をすること、それも紳士なんだよ。」と、父を見てうなずきました。結局、父は、最後まで上着を脱がず、汗をかきながら英国式のアフタヌーン・ティーを満喫?しました。
イギリスに限らず、名門ホテルやレストランでは、男性はジャケットを着用し、短パンやサンダル履きはもちろんNG。女性は肌の露出が多くない、エレガントな衣裳が通常とされています。ランチ、アフタヌーン・ティー、ハイ・ティー、そして、ディナーにいたるまで、それぞれのホテルやレストランによってドレスコードが決められています。
The Ritz Hotelでは、「パーム・コート」と呼ばれるティールームでアフタヌーン・ティーを楽しめます。そこには、ゲストを迎え入れる役割の紳士がいます。ゲストを丁寧にもてなす一方で、その場にふさわしくない服装や振舞いをさりげなくアドバイスしてくれるのです。
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