How to be a Gentleman

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第35回
受け継がれるもの

写真提供:金沢市

正月の準備の一つとして、金沢では欠かせない食べ物があります。
「蕪(かぶら)ずし」がその一つです。
県外の方は、「かぶ」が乗った「おすし」を想像するようで、「おすし」だと思いながらふたを開けて驚く方も多いようです。

この「蕪ずし」は、藩政期のころに庶民の暮らしの中から生まれたもので、分かりやすくいうと、「漬物のような食べ物」です。
「蕪ずし」は、店ごとでも家ごとでもそれぞれ異なる味を持つのですが、作り方の基本は以下の通りです。

金沢の特産でもある青首蕪(かぶ)を、幅数センチの輪切りにし、塩で下漬けと本漬けを繰り返します。そして、寒ブリの切り身の塩漬けをこの蕪と蕪の間に挟んでから、麹(こうじ)に漬け込みます。
金沢の正月の食卓には、必ずといってよいほどよく並べられるものの一つです。そのため、正月の25日ほど前から漬け始めると、正月に食べごろの蕪ずしが頂けるというわけです。

昔から、祖母や姑から母へ、そして子へと受け継がれる「事」や「物」は、祖父や舅から受け継がれるものより多いような気がします。しかし、今では時代も変わり、例えばこの蕪ずしの作り方を教えてくれる「男性のためのクッキングクラス」があるくらいです。
その土地の伝統や、その家が代々受け継いでいるものは、祖母や母親からだけではなく、祖父や父親からも伝えることができます。
Gentlemanの方々も、ぜひ伝統的な料理作りに挑戦してみてください。

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