第6回
海外で日本語を教えてみませんか?〈実践編〉
2012.07.03 [村上 充]
また、海外生活を送るためには、健康であることも大切です。地域によっては、医療施設などが、日本と比べて十分ではない場合もあるので、どこか体調に問題のある方は、渡航前に医者に相談しておくとよいでしょう。また、郷に入りては郷に従えの精神で、「日本風」にこだわらず、現地の生活スタイルや考え方を受け入れましょう。やはり、日本は、多くの国と比較して、時間に厳格、清潔、まじめさに重きを置く社会といっていいでしょう。異国で、時間にルーズな人が多い社会だと感じたときは、日本との違いを楽しむくらいの余裕がないと、ストレスがたまってしまいます。自分もルーズになってしまう必要はありませんが、異文化で理解できないこと、受け入れがたいことがあったときは、いったん心の中で棚上げして、すぐに善悪の判断を下さない態度が必要となります。この対応は、異文化教育では、エポケー(心理的留保)と呼ばれます。日本語の先生だからといって、なんでも「日本流」を押し通そうとすると、現地の人と仲良くはなれません。
最後に、森田さんの言葉をもう一度、引用します。「日本語教師は、意義のある仕事なので、自信を持って。中国の人と一緒に時間を過ごし、同じ目線で付き合う中で、互いの誤解も溶けていくと思います。そして、僕のような年配の人も、中国に興味があるなら恐れずにチャレンジしたほうがいい。だって、人生は一度きりなんですから」
※ 森田六朗さんは、NHKラジオテキスト『まいにち中国語』で「中国で日本語教師 続・剣道先生奮闘記」を連載中です。
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