世界とにほんご

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第2回
海外で日本語を教える人、学ぶ人 ~ベトナム編・後編~

さて、出張ですから、食べてばかりではいけません。翌日は、早朝から取材に出かけ、日本への留学や就職を目指して勉強する大学生たちやその先生方に会ってきました。ここでも、学生たちはみんな童顔で、高校生に見えます。みんな、一流大学の学生たちなのですが、目を輝かせて、「名探偵コナン」や「ドラえもん」の魅力について語ってくれます。やはり、アニメの人気はこの地でも高いようです。10人くらいのクラスの全員が、ラップトップ型のコンピュータを持参していたので質問すると、「500ドルくらいだから、安いです。皆、PCを持っていますよ」との答えが。物価を考えると、高いと思うのだけど、教育に力を入れる国民性だから、将来の投資として親に買ってもらうのでしょうか。ここで会った学生たちのほとんどもそうでしたが、国の方針もあり、理系の学生が多いそうです。日本の企業でも、外国から労働者を受け入れるときに欲しい人材は、理系分野の知識やノウハウを持った人が中心となるので、需要をよく考えた国策なのでしょうね。そんな彼らですが、休日の過ごし方を尋ねると、「雨の日は、部屋で、彼女のことを考えています」と答えたり、3人の学生を撮影しようとしたら、もじもじし始めて、真ん中の人が早死にする迷信があるから、もう1人写真に入ってもらってもいいかと聞いてくる。うーん、全然、科学的じゃない。
日本のイメージについて聞くと、「日本人はとても勤勉です。一生懸命働いて、経済大国になりました。日本に行って、日本人と一緒に働いてみたいです」と語ってくれる。いやいや、君が思っているほど、今の日本人は勤勉じゃないよ。まじめな人もいるけど、そうじゃない人も多くいるよ。と答えたけれど、信じてもらえなかったようです。

駈け足で取材したホーチミンとハノイでの取材でしたが、急成長している国ならではの勢いに圧倒されました。最近、中国、韓国との関係が緊張してきた分、ベトナムとの連携を強化しようとする動きも出てきています。日越関係が、これからどう発展していくのか。その重要な鍵は、ベトナムからの留学生たち、そして、彼らに対する現地と国内での日本語教育にあると思います。

※ このベトナム取材の実際の記事は、『日本語教育ジャーナル』夏号(1,365円/アルク)に掲載されています。

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