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第3回
海外で日本語を教える人、学ぶ人 ~中国編・前編~

左から、朱さん、駒澤先生、胡さん。

先日、うれしいメールが中国から届きました。
2年前の秋、北京出張で知り合った胡さんから、「9月に来日し、ある有名私大の大学院でジャーナリズムについて学ぶことが決まりました」という報告でした。


胡さんとの出会いは、北京の大学で日本語を教えている駒澤千鶴先生の紹介によってでした。出張前に、メールで取材の日程調整を行っていた時、「北京滞在中、私の教え子たちをガイドに使ってくれませんか」と提案いただいたのです。ありがたい提案ですが、申し訳なくてちゅうちょしていたら、「貴重な日本語のトレーニングの機会になるので、ぜひ!」と言われ、お願いすることにしたのです。

こうして、北京到着後、私の宿泊するホテルのロビーに、初々しいスーツ姿でやってきたのが、当時、大学3年生だった胡さんと朱さんだったのです。安徽(あんき)省出身の好青年、胡さんは、丁寧なお辞儀をしたかと思うと、きびきびとした動きで、「かばんをお持ちいたします!」と申し出てくれました。VIP待遇には不慣れな私が、自分で持つよと断ったら、「本当によいのでしょうか。申し訳ございません」と謝り、「私は敬語が苦手です。もし、間違って失礼な話し方をしてしまったら、お許しください。そして、遠慮なく、ご指摘いただけないでしょうか」と伝えてきます。
これだけの丁寧な言葉遣いと対応、日本の大学生だって、なかなかできないよ、と答えておきました。胡さんは、高校時代、日本のアニメ好きな親友の影響で、日本語に興味を持ったそうです。 朱さんは、浙江(せっこう)省出身で身長170センチのすらりとした美人。英語も得意で、語学に関心があり、日本語を学んでいるそうです。日本に来たら、モデルとして働けると思うよ、と話しかけると、「そんなことありません」と真顔で返されてしまい、失言してしまったと後悔しました。
二人とも、大学卒業後は、大学院に進学し、将来は雑誌や新聞やテレビなどの仕事に就きたいと話していました。今回の胡さんの留学は、2年前の目標に近づく大きな一歩となるわけです。ところで、二人の他にも、取材中に会った大学生たちに将来の夢や希望の職業について聞いたところ、メディアの仕事への関心が高くて驚きました。

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