第4回
仕事としてでも、謙虚な姿勢を身に付けましょう
2012.01.17 [出口 知史]
前回に引き続き、今回も日々の言動で改めるべき点がなかったか、後輩たちに伝えるべき(そして感謝されるべき)失敗体験がなかったかをチェックし、これから過ごす時間での言動をどうしていくべきかについて述べていきます。
前回は「①その場かぎりの返事ではなく、相手にヒントや刺激を与えていましたか?」「②自分ができない具体的なアクションを要求していませんでしたか?」という切り口でその意図するところをご説明させていただきました。心当たりはありましたでしょうか?
今回はもう3点、追加で挙げさせていただきます。前回は話の内容に焦点がありましたが、最後の2点については内容よりも態度に焦点が当たっています。
③成功体験に依存していませんでしたか?
企業マネジメントの分野では、古典的な名著として、ハーバード・ビジネス・スクールのクリステンセン教授が書いた『イノベーションのジレンマ』という本があります。そこでは、業界トップの優良企業が正しいと信じて下した経営判断が、失敗を招き、企業が危機に陥ることについて書かれています。メーンストーリーは法人の単位で記述されていますが、まったく同じ原理が個人にも当てはまります。会社は人の集合体であって、個人の行動原理がそのまま企業の行動原理につながっていると捉えてしまえば当然のことですが。
講演や書籍などで私はそれを「成功の罠」という表現で説明しています。過去に大なり小なり成功したことにおいては、次に同様の課題が出てきた場合にも、成功体験に基づいた方法で取り組もうとします。時として、それが過ちであると薄々分かっていても、経験則上という理由で、あるいは「やってみなければわからない」と言って、盲目的に同じ方法・考え方にこだわってしまいがちです。もちろん経験則はとても大事ですが、思考を停止して判断してしまうことに問題があります。
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