第7回
より確固たるポジションを築くために
2012.04.24 [出口 知史]
前回は、強引な聖域づくりは結局うまくいかないということを述べました。そうであれば、どのように周囲の人と調和し、業務を組み合わせていくべきかを考えていかなければなりません。
今回は、その考え方の例を挙げていきます。
まずは、自分の業務を引き継げる後任を育成しつつ、他の業務を手伝いたいといった前向きな相談を上司に持ちかけるのがオーソドックスな方法でしょう。
自分から申し出るのと、他人に言い出されるのとでは、評価は大きく異なります。前向きな人と見られるか、いつか抵抗勢力になるかもしれない人と見られるかの分かれ道でもあります。
現役プレーヤーの勘を戻す
他の業務を探すとき、大きく2つの考え方があると思います。1つは一兵卒、すなわちプレーヤーに戻ることです。
マネジャーやリーダー職の求人数は想像以上に多いものですが、要求レベルは一様に高いです。自分の会社にいない人材を求めて求人するのですから、当然です。
また、環境が変わっても今まで以上に力を発揮して結果を出さなければならないことを考えれば、メンタル的にもハードでしょう。
さらに、元エグゼクティブがアルバイトのように(週に1〜2日出勤する仕事を複数掛け持ちするイメージ)どんどんポストを埋めていくトレンドが出てきています。現役を引退した元経営者がいくつもの社外取締役を掛け持ちしていることがありますが、そのマネジャー版ともいえましょう。その領域に特化した人材エージェントも次々とできはじめ、盛り上がってきているようです。
企業としても、ノウハウ指導はして欲しいけれど、毎日始業から終業までいてもらいたいほどでもなく、固定費も安く抑えたいと考えるようになってきたのでしょう。また、常勤として雇ってしまうと、それまで頑張ってきた社員のモチベーションが落ちてしまうというリスクもあります。
元エグゼクティブとしても、1つのことに深入りするより幅広く色々なことに取り組む方が、知的好奇心がかき立てられて人生の張り合いになるのかもしれません。
そもそも、長くいた組織で大きくキャリアアップできなかった人が、今以上のポジションにつけることはあまり期待できません。仮に課長だった人が、今の企業より規模が小さかったり業界ポジションが低かったりする会社に転職して部長になったとしても、不慣れな立場で気持ちが空回りしたり結果が出せなかったりして、居心地が悪くなってしまう人も多いのではないでしょうか。
であれば、現役プレーヤーとして経験を改めて積み直し、現場感覚を新しくしておいたほうが良いでしょう。やがて転職することになっても、受け入れる企業の側も、新しい現場の社員の側も、なるべく鮮度の高い経験と勘があり、実務での貢献度が高い人の方がありがたいはずですから。
第5回で述べたように販売職のニーズは高いので、自分なりに販路や顧客をつかんでいれば、次の仕事探しにはかなり有利になるはずです。
また、根本的に顧客や市場に近い立場の方が何かしら目標を持ちやすいでしょう。「今日ダメでも明日やってやろう」という気持ちを持てる機会というのは、貴重なことです。多少給料が下がろうとも、得られるものはたくさんあるはずです。
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