第2回
あなたの“鉄板ネタ”を掘り出しましょう
2011.11.08 [出口 知史]
あなたの“鉄板ネタ”は?
今までの会社員生活を振り返って、「してきたことは、一言で言えば何ですか?」「その結果、得たものは何ですか?」という質問に対する答えを考えてみましょう。つまり、自分の“売り”は何であるのかを考えてみましょうということです。瞬時に浮かばなければ、3つか4つ考えて紙に書き出し、そこから1つ選ぶようにすれば頭が整理できるでしょう。書いている姿を家族や同僚に見られるとやや気恥ずかしいですが。
注意するポイントとしては、自分が関わってきた数字の大きさを基準に考えずに、行動の履歴を思い出して考えることです。金額については、上には上が大抵います。さらに時代とともに経済環境が変わりますので10年前の1億と今の1億では、得るために必要な努力の内容と量が異なります。ですので、営業・販売の仕事をしてきた人は、売るまでのプロセスにおいて、後輩にとって役に立つコツやエピソードにどんなことがあるかを考え、自分がどう対処してきたかを考えるようにしましょう。
また、法人相手に某かを売っている会社の場合には、“人脈”の認識についても気を付けましょう。付き合いのある取引先の人との間柄は、ほとんどの場合において会社と会社の付き合いであるだけに過ぎないことが多いです。それは自社が発注する側であった場合にはもちろんとして、受注する立場であってでもです。「あの取引先は俺が開拓した、俺が売上を大きくした」という相手がいた場合には、自分が今の会社から変わって、自社商品よりも弱い競合商品や、まったく違うカテゴリーの商品を提案しに行った場合でも、今と同等の条件で扱ってくれるかどうかを自問自答するようにしてください(もちろん通用する人はいますが、少数派です)。
自分が頑張ってきたこと、苦労の末に見えてきたものはつまるところ何なのか、そこから何を身の回りの人に学んで欲しいのかを整理してみてください。
それをさらに、エピソードとして語れるようにしておいてください。できることならば、失敗から始まり、その後からちょっとした成功があったことを語れるといいでしょう。そうしたエピソードは、いつ何時くるかわからない話せるタイミングに披露するわけですが、聞く側にとってみては、やはり話に展開なり動きなりがあって、面白くないと聞く気がおきません。失敗話を開けっぴろげにすることで信用され、さらには、自分が失敗しそうになったときに先に気付いてくれるのではないかという期待も抱いてもらえます。
簡単に書いてしまいましたが、こうした一連の情報整理はなかなか難しいとは思います。改めて書斎にこもって唸っていても考え出されるものでもありません。通勤電車に乗っている間だけ毎日考えるくらいがちょうどいいかもしれません。ただ、若いころの自分の経験の棚卸しをして、それを人にどうやって話せば面白いと感じてもらえるだろうかと考えていたら、少し楽しい気分になりませんでしたか?
社会的に成功している人は共通して、場を和ませてなおかつ聞いている側が教訓を得られる“鉄板ネタ”を多く持っています。多くとまでいわなくても1つか2つで十分ですので、自分自身を理解してもらえるストーリーを考えるようにしましょう。
そうした“鉄板ネタ”を頭に入れて、次回からは、日々の言動で改めるべき点がないかをチェックし、これから過ごす時間での言動をどうしていくべきかについて述べていきたいと思います。
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