江戸の名残を歩く

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第39回
樋口一葉ゆかりの下谷を歩く

一葉記念館の近くに、正宝院という寺院があります。同じ竜泉3丁目です。享禄3年(1530)に創建された天台宗の寺院ですが、むしろ江戸七不動の一つでもある飛不動が祀られていることで知られています。

飛不動前

この寺院の住職が、大和国大峰山に本尊の不動明王を持って修業に出かけたところ、この不動様が一夜にして正宝院に戻り、参詣者に御利益を授けたのだそうです。そのご利益により、本尊の不動が飛不動という名前で呼ばれるようになりました。
古くより、飛不動は病や災難を飛ばしてくれる「空飛ぶお不動様」として篤く信仰されていましたが、現在では航空安全の神様としても人気があります。境内をみると、航空関係者が奉納した絵馬が数多く掛けられています。また、境内には下谷七福神の一つ恵比寿様が祀られています。七福神詣の人にも人気の寺院です。

説明版
本堂

飛不動を出て、国際通りに出ます。この通りを横切り、竜泉1丁目に入ります。弁天院に御参りしましょう。

弁天院入口

寛永元年(1624)に、上野の不忍池に弁財天が祀られた時、当時備中国松山藩主だった水谷家はこの地に屋敷を持っていました。屋敷内には池がありましたが、その池に同じく弁財天を祀ります。弁財天は女性なので、水谷家では不忍池の弁財天とは姉妹弁天であると称しました。その後も御堂は守られ、現在に至ります。小さいながら、池も残されています。この弁財天は下谷七福神の一つにもなっています。
下谷地域には、女性にまつわる江戸の名残もあるのです。

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