第4回
江戸時代の結婚・離婚事情
2013.05.14 [安藤 優一郎]
「八重の桜」のヒロイン山本八重は、二十才の時に結婚します。慶応元年(一八六五)のことでした。
綾瀬はるかさん演じる八重のお相手は、長谷川博己さん演じる川崎尚之助という武士でした。天保七年(一八三六)生まれといいますから、八重よりも九歳年上です。現在の兵庫県豊岡市にあたる出石(いずし)という町で生まれました。
西島秀俊さん演じる八重の兄・山本覚馬が江戸で知り合って、はるばる会津まで連れてきたのです。
科学に詳しい理系男子として、藩士相手に教鞭(きょうべん)を執ります。数学や理科の先生といったところでしょう。
ただ、その身分は嘱託でした。アルバイトのような形で勤めていたため、身分は不安定でした。住むところも与えられず、山本家の居候の身でした。
覚馬は尚之助を会津藩士として取り立ててくれるよう奔走します。
しかし、会津出身ではないということで、その願いは叶えられませんでした。
尚之助が会津にやって来たのは、安政四年(一八五七)のことです。そんな日々が八年も続いていました。さすがに、覚馬は焦ります。
さて、尚之助は宙ぶらりん状態の自分の境遇をどう思っていたのでしょうか。
二十歳を少し過ぎたころ会津にやって来て、もう三十才になろうとしていましたが、身分はいまだにアルバイトでした。
普通なら、会津を去って地元の出石に戻るか、転職先を探すでしょう。
しかし、尚之助は会津にとどまり続けます。本当の心は分からないのですが、この後、会津のために命がけで働いたところをみれば、会津が心底好きだったのでしょうね。
覚馬の存在も大きかったでしょう。八才年上ですから頼れる兄貴分ですね。
ドラマをみていると、二人が心から信頼し合っている様子が分かります。
山本家の家族の一員としても溶け込んでいましたから、このままの境遇でも良いと思っていたのかもしれませんね。
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