第4回
江戸時代の結婚・離婚事情
2013.05.14 [安藤 優一郎]
江戸時代の結婚事情の次は、離婚事情についてご紹介しましょう。
実は八重も離婚を経験しています。
川崎尚之助との夫婦生活は、わずか四年で終わり、八重はバツイチになるのです。
八重と川崎尚之助は離別の悲劇を味わい、生き別れになるのですが、そのことはもう少し後になってお話していきましょう。
江戸時代というと封建的なイメージが強く、男尊女卑の風習があったといわれます。
男尊女卑とは男性を上に、女性を下にみる風習です。
夫婦関係についても、夫の言うことに妻が黙って従うのが美徳とされましたが、実際はどうも違っていたようです。
離婚する場合、夫は妻に離縁状を出します。それを「三下り半」といいます。離別するという意思を、わずか三行半の短い言葉で書き記したのです。
今までは夫が勝手に妻を離別させるという、江戸時代の男性の横暴さを示す書状と考えられてきました。
ところが実際は、妻が夫に請求して離縁状を書かせたのです。
なぜでしょう。再婚するには、前夫からの離縁状が必要だったからです。さもないと重婚になってしまい、処罰されるからです。
離縁状には、「私の勝手で妻を離別する」という文章が必ず入っていました。
言い換えると、「妻に非はなく、夫の勝手な事情で離別に至った」と書くことを夫は強要されたのです。
離縁状は、男性の横暴さをあらわしているのではありません。江戸の女性のたくましさを示す書状だったんですね。
八重が尚之助と離別するとき、離縁状を書いてもらったかはわかりませんが、江戸の女性は夫の横暴に泣き寝入りする女性ばかりではなかったことは確かなのです。
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