大河ドラマ「八重の桜」の世界をめぐる

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第6回
弟と父の死、そして夫との別れ

母たちの反対を押し切って、八重は入城を決意します。
弟・三郎の形見である着物と袴(はかま)を身に着けて男装し、腰に大小の刀を帯びました。そして麻の草履(ぞうり)を履いて外に出た八重は、七連発が可能な最新式のスペンサー銃を肩に担いで入城します。
主君・松平容保のため、亡き弟・三郎のため、そして生死不明の兄・覚馬のため、命の限り戦う決心で八重は一カ月にわたる籠城戦を戦い抜きます。

藩士の妻や娘たちも大勢入城してきました。
女性の場合、薙刀(なぎなた)を持って入城するのが普通でした。しかし、砲術師範の家に生まれた八重の武器は薙刀ではなく、鉄砲そして大砲でした。
夫の尚之助も八重とともに入城し、砲撃戦に参加しました。八重は砲術指南の家に生まれただけあって、砲撃の正確さは周囲を驚かせたほどでした。マントを羽織った姿で砲撃を指揮したといいます。

八重は城内で砲撃の指揮を取っただけではありません。銃を肩に担いで城外に出て、政府軍と戦うことも厭(いと)いませんでした。
籠城戦の最中、八重は二発の銃弾を浴びていますが、命に別状はなかったといいます。まさに、草食系男子など真っ青のスーパーウーマンでした。

ですが、八重は男性たちに混じって鉄砲や大砲で戦っていただけではありませんでした。女性に任されていた仕事もしています。それは、食事を作ること、負傷兵の看護をすること、そして弾丸を作ることの三つでした。八重は、この三つも先頭に立ってこなしました。

しかし、その戦いは一カ月も続きません。最後の時は刻々と近づいていました。そして夫との別れも、近づいていました。

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