お取り寄せからみたニッポン

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第5回
宮城県・異なる個性でコレクションされるこけし

防災や記念に、創作こけしも多彩

こけし作りは、一人の工人が木地作りから絵付けまで全部を仕上げることが多いため、各系統で共通のスタイルがあっても、それぞれの個性が出て、味わいが異なる。それがこけしの面白みになっている。また、それぞれが自分のアイデアで工夫をこらせるので、斬新な新作こけしや創作こけしを作りやすい。

胴が直胴で頭が大きいため、転倒しやすいという欠点を逆転の発想で長所にしたのが、防災「明かりこけし」。転倒と点灯をかけたダジャレみたいな発想だが、手に持って傾けた時や、地震が起きてこけしが倒れると、胴体に仕込まれたLEDライトが自動的に点灯して、懐中電灯の代わりになるというもの。民芸品販売「こけしのしまぬき」(仙台市青葉区)が販売するもので、伝統系のこけしや創作こけしの両方のデザインがあり、防災の備えや役立つインテリアとして、贈り物としても喜ばれているという。

子の成長を願うという視点から作られたのが「誕生こけし」。誕生記念に、赤ちゃんの身長と同じサイズの「こけし」をオーダーできるもので、身長、体重、生年月日、名前をこけしの背中に名入れしてくれる。記念こけしには、そのほか、新郎新婦の名前を刻む夫婦こけしなどもある。

新作こけしでは、宮城県白石市の出身で、同市の観光大使に任命された活弁士・山崎バニラをモチーフにした「バニラこけし」も販売されている。ピンクの着物に本人そっくりなおかっぱのかわいいこけしで、佐々木こけし工房のWEBサイトやamazon.co.jpなどで購入でき、売上の一部は、白石市に寄付されるという。

こうした取り組みをみると、こけしがいかに身近に親しんできた工芸品か、よくわかる。昭和の時代には、どこの家庭にも、居間の飾り棚やテレビの上などに並べられていたように思う。子どもが遊んでいるシーンは思い浮かばなくても、ずっと静かに密かに微笑みを浮かべながら、家族の歴史を見守ってくれていたような気がする。
大昔の人たちが温泉場から持ち帰ったこけしも、きっと家族の間で、同じように愛されていたのだろう。そんな家族の絆や団欒のシンボルとして、これからもたくさんのこけしが、作られていくのだろう。

●宮城伝統こけし
宮城県 > 新産業・中小企業支援 > 新産業振興課 > みやぎの伝統的工芸品> 工芸品一覧>宮城伝統こけし
http://www.pref.miyagi.jp/shinsan/chusho/dentoukougei/01kokesi.htm

●東北経済産業局 伝統工芸品 宮城県 宮城伝統こけし
http://www.tohoku.meti.go.jp/s_cyusyo/densan-ver3/html/item/miyagi_01.htm

●明かりこけし
民芸品販売 しまぬき
http://www.shimanuki.co.jp/

●記念こけし
岩下こけし資料館
http://www.iwashita.info/kinen-tanjiyou.htm
日本こけし館(鳴子木地玩具協同組合)
http://www.kokesikan.com/newpage2.html
松田工房
http://hds-net.heteml.jp/matuda/html/products/detail.php?product_id=8

●バニラこけし
佐々木こけし工房
http://www3.ocn.ne.jp/~skk/
アマゾンの販売ページ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004ZSVFAC/blogzine-22

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