お取り寄せからみたニッポン

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第7回
福島県・会津絵ろうそくに祈りを込め

市民の心に灯る絵ろうそくの灯火(ともしび)

現在の和ろうそくは、漆に変わってハゼノキの蝋が使われている。しかし、灯心に使われるイグサや和紙といった材料すべて、昔と変わらず天然の植物ばかり。芯を入れた型に原料を流し込んで作る洋ろうそくに比べ、串などに和紙を巻き付け、その上からイグサを丹念に巻いて灯心を作り、液状の蝋を浸して乾かし、それを何度も繰り返して年輪状に太くしていくため、大変手間がかかる。
これらの材料そのものも減り、また照明としての需要も減ってしまったことから、明治時代には、すっかり洋ろうそくにとって代わられてしまったが、一方で、芯の構造から洋ろうそくに比べて炎が長く持ち、また、風情のある揺らぎを見せるその燃え方は美しく、愛好する人も少なくない。煙に含まれるカーボンも少ないため、仏壇には必ず和ろうそくを灯す、という人もいるそうだ。ハゼろうの独特な手触りや、色合い、そこに描かれた四季の花々や干支といった文様など、味わいは深い。

会津若松市では、そうした「会津絵ろうそく」の魅力を知ってもらおうと、2000年から毎年2月に『会津絵ろうそくまつり』を開催してきた。市内の観光名所である御薬園や鶴ヶ城などを舞台に、願いを込めたたくさんのろうそくが灯されるこの祭りは、地域の住民が自分たちで立ち上げ、育んできたものだ。冬の最中、“ゆきほたる”という愛称そのもののような雪の上の行灯、絵模様に並べられた何本ものろうそく、竹筒の中でゆらぐ炎といった、美しく幻想的な風景が広がる。震災の影響で来年の開催が気になっていたが、ホームページを見ると、来年も2月に開催予定となっていて安心した。寒い冬にかじかんだ手を温めてくれる、小さな芯の強い炎が、震災や原発事故後の復興の灯のひとつとなることを祈ってやまない。

●会津若松市 絵ろうそくまつり
http://aizu.com/erousoku/

●現代に残る、福島の伝統工芸品>会津絵蝋燭
http://www.tif.ne.jp/bussan/dentou/dento/nuru/nuru01.html

●蝋燭の山形屋本店
老舗のろうそく屋
http://rousoku.com/cargo_syohin/index.html

●会津ブランド 史・季・彩・再> 楽しむもの
会津 絵ろうそくの製造店舗紹介
http://aizubrand.shop-pro.jp/?mode=cate&cbid=320038&csid=0

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