第56回
ルーマニアで消えてしまうワインを頂く
2016.10.07 [蓮實 真知]
以前、仕事で、ルーマニア ブカレストに行く機会がありました。
ルーマニアというと、チャウシェスク独裁体制が有名でしたが、チャウシェスク政権の崩壊と共に、民主主義国家の道を歩み始めたルーマニアはどんなところなのかという興味と、ほぼ自国消費のルーマニアワインは、入手しにくいので、飲んでみたいという興味がありました。
とはいえ、仕事で滞在できる時間は、わずか、18時間ほど。15時頃ホテルに到着し、タクシードライバーに交渉して、ブカレスト市内の名所を廻ってから、オススメのレストランへ案内してもらうことになりました。まず訪れたのは、第一次世界大戦に、ルーマニアを守って亡くなった兵士達の石造の記念碑の「凱旋門」です。見た目は、パリの凱旋門のようでした。
その後、「国会宮殿」の前を通過し、ブカレストの街並みを拝見しながら、途中、フォトスポットに寄って頂き、写真を撮らせていただきました。
優しいドライバーに恵まれ、ほんのわずかな時間を、短時間で観光するという有効活用ができました。
お食事をしに訪れたのは、街の中心部。若者や観光客が多く集まるエリアでした。
かなり賑わっていて、テラス席もあり、みんな、ビールやワインを片手に盛り上がっていました。私たちが案内されたのは、地下の静かなお席。ゆっくりメニューを眺めることができましたが、困ったことに、ルーマニア語しか書いてありません。準備の良い同僚が、ガイドブックと照らし合わせて、有名な郷土料理を探してくれ、無事注文することができました。
お料理自体は、豚のローストとジャガイモ、酢漬けのキャベツが付け合わせだったり、ソーセージとジャガイモだったりと、どこかドイツ料理に近いものがありました。店員さんのほとんどが英語を話すことができませんでしたので、お料理だけでなく、ワインを注文する時も、かなり困りました。
ルーマニアの土着品種があるので、それをお願いましたが、ボトルが手元に届くまで、少しヒヤヒヤしました。お願いしたのは、「フェテアスカ ネグラ」で、日本語に訳すと「黒い乙女」と言われているものです。プルーンやブラックベリーのような香りに、若干のピンクペッパーのようなスパイシーさを持ち合わせているブドウ品種です。
他に、ルーマニアのブドウ品種としては、「フェテアスカ アルバ(白い乙女)」というキンモクセイのような白いお花の香りが特徴的な白ブドウ、「フェテアスカ レガーラ(王家の乙女)」というスパークリングワインに適した白ブドウなどもあります。
大まかなルーマニアワインのイメージとしては、白ワインは、華やかで芳醇な香りのものが多く、赤ワインは、酸とタンニンが穏やかなものが多いように思います。ルーマニアは、ワイン生産量世界第12位にも関わらず、消費国でもあるため、ほとんど、輸出されずに、自国で消えてしまっているのが現状です。ルーマニア人にとって、ワインは食卓に欠かせないものなのですね!
ルーマニアは、2007年にEUに加入し、ワインの格付けなど、EU基準に則ることでルーマニアワインは大きな変革と進化を始めているようで、今では、5段階の格付けがされています。国際品種で成功しているのは、先ほど挙げた土着品種ではなく、白ブドウではシャルドネ、アリゴテ、ピノグリ、ソーヴィニヨンブランなど。また、黒ブドウではカベルネソーヴィニヨン、ピノノワール、メルローなどです。現在確認されているものだけで、ルーマニアで造られているブドウ品種は100種類を超えるそうですが、なかなか出逢えないのが現状です。ですので、ヨーロッパ旅行などで、ルーマニアを訪れる機会がある方は、是非、一度ルーマニアワインを口にしてみてください!
この日、最後に頂いた、ルーマニアの伝統スイーツ「パパナッシュ」は、クリームチーズを練り込んで揚げたドーナツにサワークリームとイチゴジャムをたっぷりかけて頂くものでした。デザートまで堪能して岐路に着きましたが、まさかこの後、タクシーの運転手さんとバトルになるとは、この時は思いもせず・・・
ルーマニアでは、迎えにきてくれるタクシーの番号を伝えられ、その番号のタクシーに乗るのがルールなのですが、大きく手を振って迎えてくれたタクシードライバーが1人。たまたま番号が合っていたのか、私たちが乗るはずの番号を知っていたのかわからなかったのですが、私たちはそのタクシーに乗り込みました。そのドライバーは、英語を流暢に話し、日本人が好きとか日本の女性は綺麗とか色々言ってくれました。
それもそのはず!これからぼったくろうとしていたからです。メーターがきちんと動いていたのは確認していたのですが、その上がり方が尋常ではない早さだったことに気付いたのです。ホテルに到着すると、なんと、往路、観光地巡りまでしてくれたタクシー料金の10倍近くの金額を請求されたのです。しかも、ホテルのエントランスに車をつけないあたりもかなり怪しい!弱くない私たち4人対ドライバー1人で口論を始めました。
すると、ドライバーが、あれだけ話していた英語なのに、途中で、英語がわからないと言い出したのです!らちが明かないので、ホテルのベルの方を呼びに行き、タクシードライバーと直接、話して頂き、正規料金をお支払いし、解放されました。
この時は、助けて頂けたし、私たちも引かなかったので、ぼったくられることはありませんでしたが、観光地は、こんなことがつきものです。くれぐれも、お気をつけ下さいませ!
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